デジタル証券(セキュリティトークン)プラットフォームを手がけるセキュリタイズは22日、シリーズBラウンドで4800万ドル(約53億円)を調達したと発表した。同社が進めるデジタル証券プラットフォームの開発や人材採用に充てられる。同社の評価額は非公開。

今回の調達ラウンドはモルガン・スタンレーの投資会社であるモルガン・スタンレー・タクティカル・バリューとベンチャーキャピタルのブロックチェーン・キャピタルが主導した。また、新規の投資家として日本からNTTデータや三井住友信託銀行が加わったほか、アヴァ・ラボ(Ava Labs)やIDCベンチャーズ、マイグレーション・キャピタル(Migration Capital)も投資した。リリースによると、「北米や欧州、アジア太平洋地域から大規模な機関投資家の資金調達を受けた初めてのブロックチェーン企業」になるという。

今回のシリーズBの参会者や既存の投資家は、セキュリタイズのプラットフォームで発行されるデジタル証券の形で株式を受け取ることになる。

セキュリタイズは現在、プライマリー(発行)からセカンダリー(流通)に対応した私募市場プラットフォームであるセキュリタイズ・マーケット(Securitize Markets)の米国での提供に向けて準備を進めている。同サービスはSEC認可の代替取引システム(ATS)を持ち、米金融取引業規制機構(FINRA)登録のブローカー・ディーラーとして、完全に規制下でデジタル証券サービスを提供する予定だ。サービスが開始されれば機関投資家や適格投資家がデジタル証券を通じて私募市場にアクセスできるようになる。

今回の資金調達もセキュリタイズ・マーケットなどのサービス整備にも充てられるとみられる。ただし、同サービスは日本での提供は未定だ。セキュリタイズはコインテレグラフジャパンに対して、「日本は米国に次ぐ第二の市場として、事業拡大をはかっていく予定です」と明らかにしたが、具体的な提供方法はまだ決まっていないという。

セキュリタイズは5月、三井住友信託銀行とともに、国内初の証券化商品を裏付けとするセキュリティトークンを発行する試験を実施している。

今回の投資の一環では、モルガン・スタンレー・タクティカル・バリューの共同責任者であるペドロ・テイシェイラ氏が取締役として参画する。