米証券取引委員会は9日、仮想通貨の上場投資証券(ETN)の取引を9月20日まで一時的に停止する決定を下した。SECの発表によれば、対象となったETNの取引サイトなどで上場投資信託(ETF)と誤解を与えるような記述をしており、「市場参加者の混乱を招いた」ことを取引停止の理由として挙げている。

ETNは、上場投資信託(ETF)と異なり、実物の資産(仮想通貨)を保有するわけではなく、発行元の信用によって裏付けられている。

対象となったのは、スウェーデンに拠点を置くXTBプロバイダーが提供する「ビットコイン・トラッカー・ワン」と「イーサ・トラッカー・ワン」の2つのETN。それぞれ、ビットコインやイーサリアムの価格指数と連動した証券で、スウェーデンのナスダック・ストックホルム取引所に上場している。、8月15日からドル建てのETNが上場し、米国人投資家も投資可能となっていた。

SECは市場参加者の混乱を招いた点につて、次のように具体的に指摘している。

「例えば、米国でこれらの金融商品の提供および販売を可能にするために提出されたブローカー・ディーラーの申請書類および特定の取引ウェブサイトは、それらを『上場投資信託』と位置付けている。これとは対照的に、ほかの情報源では、発行者は『上場投資証券』と位置付けている」

SECは8月22日、投資会社のディレクシオンなどが申請していた計9つのETFを拒否すると発表。SECは「詐欺や価格操作を防ぐ上でSECが求める水準に達していない」ことを拒否の理由とした。Vanexとシカゴ・オプション取引所(CBOE)によるETFの承認可否が9月30日にまでに行われる予定で、市場が注目している。