米証券取引委員会(SEC)は、仮想通貨取引所FTXの破産宣言前にサービスを提供していた会計事務所に対して法的手続きを開始した。
9月29日の声明によると、SECは、会計事務所プレーガー・メティス(Prager Metis)が必要な独立性を保持せずに監査サービスを提供していたと主張。利益相反を防ぐために、会計と監査の業務は分けられていなければならない。

しかしSECは、プレーガー・メティスが約3年の間、会計と監査の業務を分けずに混在させて行っていたと主張している。
「我々の訴状で述べられているように、プレーガー・メティスは3年に渡って、監査、レビュー、試験はこれらの基本原則を満たしていなかった。我々の訴状は、監査の独立性が投資家保護に不可欠であるということを再認識させるものだ」
この声明ではFTXや他のクライアントを明示的に言及していないものの、3年間にわたり「数百回」の監査の独立性違反があったと強調している。
さらに、以前の裁判所の提出書類には、FTXグループが2021年のある時点でプレーガー・メティスにFTX USとFTXの監査を依頼したことが記載されている。その後、FTXは2022年11月に破産を宣言した。
提出書類には、FTXの元CEOであるサム・バンクマン=フリード氏がFTXの監査結果を公にしたことを受け、プレーガー・メティスはFTXがその結果を使って一般大衆の信頼を得ようとした意図があった、と主張されている。
FTXの監査報告書に記載された内容については以前から懸念が報告されていた。
1月25日、FTXの現CEOであるジョン・J・レイ3世氏は破産裁判所に対し、「これらの監査済みの財務諸表に記載された情報について、かなりの懸念がある」と述べた。
さらに上院議員のエリザベス・ウォーレン氏とロン・ワイデン氏は、プレーガー・メティスの公平性についての懸念を提起し、仮想通貨業界支を持する立場を取っていたことに関して懸念を示している。
一方、FTXにサービスを提供していた法律事務所が最近注目されている。
9月21日の裁判所の提出書類によれば、米国の法律事務所であるフェンウィック&ウエスト(Fenwick & West)は、取引所へのサービス提供が一般的な範囲を超えていたとして、FTXの崩壊に関する部分的な責任を問う主張がなされている。
しかし、フェンウィック&ウエストは、合法的・適切な範囲でのサービスや助言を行っていたとし、それを超えるクライアントの行動や決定には関与していない、またそれに責任を持つべきではないと主張した。