米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長が5月20日、議会公聴会に出席し、仮想通貨業界に対する今後の規制方針について見解を述べた。委員長として就任後初の本格的な議会証言の場であり、デジタル資産分野を「最優先事項」として取り組む姿勢を改めて示した。
共和党のチャック・エドワーズ下院議員からの質問に対し、アトキンス氏は、ヘスター・ピアース委員の下で設置された仮想通貨タスクフォースに関する予算配分について明確な回答は避けたが、「調査報告は現在も作成中であり、今後数カ月以内に前進のための提案が出せる見込みだ」と述べた。
アトキンス氏は2025年4月にSEC委員長に任命され、就任後はすでに複数のデジタル資産関連イベントで基調講演を行ってきた。仮想通貨業界や一部の議員からは、同氏によるSECの政策転換に期待が寄せられている。
ステーブルコイン法案とSECの役割
アトキンス氏の証言は、米上院がステーブルコイン規制法案「GENIUS法」の審議に進む決定を下した直後に行われた。この法案を含む複数の立法措置が、SECおよび商品先物取引委員会(CFTC)による仮想通貨業界の監督の枠組みに影響を与えると見られている。
アトキンス氏はこの動きについて、「議会で何が決まるにせよ、それが我々の業務の土台を支えることになる」と述べた。
SECはすでに複数の仮想通貨関連の円卓会議を開催しており、次回は6月9日に分散型金融(DeFi)をテーマとして開催される予定だ。この会議にはアトキンス委員長を含むSEC委員のほか、業界関係者も参加し、規制上の課題について議論する見通しだ。