FTX元CEOであるサム・バンクマン-フリード氏の刑事裁判は、彼の発達障害が原因による「冗長な回答」が裁判所を苛立たせたため、悪影響を受けた可能性があるという。彼の控訴を支持する意見書で専門家が主張している。
FTXの共同創設者であるバンクマン-フリード氏は、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されており、「この裁判において深刻な影響をもたらした」と、ニューロダイバーシティ分野に特化した8人の医師が控訴裁判所に提出した意見書で述べている。
彼らは、バンクマン-フリード氏に対するいくつかの決定は発達障害のために不利に働いたと主張する。特に陪審員なしで検察官が反対尋問できるという裁判所の決定が悪影響をもたらしたという。
医師たちによれば、この決定は「潜在的に深刻な影響を及ぼした」とし、「バンクマン-フリード氏が長い回答をしたり、質問の明確化や再表現を試みたが、これを裁判官が繰り返し叱責した」という。ASDを持つ人々は言語を文字通りに理解するため、こういった行動はASDの特徴だと医師らは指摘する。
また、裁判官の叱責が後にバンクマン-フリード氏の陪審員の前での回答を変える原因となったとも主張した。「バンクマン-フリード氏は陪審員の前で大幅な軌道修正、場合によっては過剰修正を行った」という。「陪審員の前での彼の回答は、陪審員のいない場での尋問とは異なり、非常に短く、しばしば単純な『うん』という回答に変わった」と、医師らは書いている。
意見書は「このような短い回答は、簡単に傲慢さや無関心と誤解される可能性がある」と指摘している。
今年3月、バンクマン-フリード氏はFTXの顧客から110億ドルを詐取した罪で25年の刑を言い渡された。ルイス・カプラン裁判官はバンクマン-フリード氏が「回避的で、細かいことにこだわり、検察官に質問を再表現させようとしていた」と述べていた。
ADHD薬の欠如は「重大なハンディキャップ」
医師たちは、バンクマン-フリード氏が「さまざまなFTXの文書」や適切なADHDの薬にアクセスできなかったことも不利に働いたと付け加えた。「ASDを持つ人々にとって、具体的な文書の欠如は重大なハンディキャップとなり得る」と彼らは述べ、バンクマン-フリード氏が裁判の最初の3週間にわたって「適切な集中力を保つために必要なADHDの薬を拒否された」と付け加えた。
2023年12月、NYの拘置所に収監されたいた時のバンクマン-フリード氏(右から2人目) Source: Tiffany Fong
医師たちは、ASDを持つ人々は「具体的な文書や企業方針、アドバイス、メールなどの正確な表現を確認することで、回答のための具体的なアンカーを見つけることができる」と書いている。
そのような文書がない場合、ASDを持つ人々は「しばしば不確実性に留保した表現で回答をすることが多く、それが協力的でない、または回避的に見えることがある」と医師たちは指摘。さらにバンクマン-フリード氏は、裁判の初期段階で政府が証拠を提示している間、適切なADHDの薬を与えられなかったため、「集中する能力を奪われた」とも述べている。
バンクマン-フリード氏は1日中適切に集中するために朝と正午にADHDの薬が必要であったが、以前の半分の投与量しか与えられず、「裁判が進行するまで持続放出型の薬は与えられなかった」と医師たちは指摘する。
ADHDの薬の効果的な投与量を提供しないことは集中力に深刻な影響を与える可能性があり、投与量の変更は「離脱症状を引き起こす可能性がある」とも付け加えた。
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