仮想通貨反対論者として知られるニューヨーク大学のヌリエル・ルビーニ教授が、11日に開かれる米議会上院の公聴会で「仮想通貨は全ての詐欺とバブルの母」という証言をする見通しであることが明らかになった。また一方で先日ルビーニ教授が「独裁者」と名指ししたイーサリアム(ETH)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏とはツイッター上で議論が続いている。

公聴会を前に上院の銀行・住宅・都市問題委員会が公表した証言文書の中でルビーに教授は、仮想通貨は17世紀オランダのチューリップと同じように根拠のない価値に基づくバブルでブロックチェーンは「見かけのよいスプレッドシート」とこれまでの主張を繰り返す一方、20近くの項目を使って仮想通貨・ブロックチェーンを厳しく非難した。

例えば、ビットコインはデフレ的であるという項目では、ビットコインは2100万ユニットという一定の供給量があるため法定通貨のように価値が落ちないという論理を聞くが、これは詐欺だと主張。ビットコインはビットコインキャッシュやビットコインゴールドにフォーク(分裂)しているし、そもそもイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で数百もの仮想通貨が日々作られているではないかと話した。

また、別の項目では金融危機は法定通貨や中央銀行が誕生する前から起きており、それらのせいで金融危機が起きたと主張するのは間違っていると指摘した。

さらにルビーニ教授はインターネットの黎明期と仮想通貨・ブロックチェーンの黎明期を比較することにも苦言を呈した。インターネットは1990年代のはじめの時点でEメールなど普及がみられ2000年までにワールドワイドウェブの利用者は7億3800万人に到達したが、仮想通貨のウォレットは10年経った今も世界で2200万人、アクティブユーザーは290万人から590万人で減少し続けていると指摘した。

そして、仮想通貨のエコシステムはぺてん師や自己中なインサイダー、詐欺師で溢れかえっているが、私には利益相反は全くないと主張し、証言を締めくくった。

ヴィタリックVS.ルビーニ教授

8日にルビーニ教授がイーサリアム(ETH)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は「一生独裁者」という発言をしたことをきっかけに、ルビーニ教授とブテリン氏の間で議論が続いている。ブテリン氏がルビーニ教授に対する当てつけかのように次のように発言。

「金融危機は今から2021年の間に起きると正式に予測する。私には特別な知識もないし、実際にそう思っているわけではないが、それでも私は後に世間から「最近の金融危機を予測した達人」として称賛される可能性が25%(もしくは何%でも)あるからね」

ルビーに教授は、2008年の金融危機を予言したとして「Dr.Doom(ドクター・破滅)」としても知られている。

一方これに対してルビーニ教授は次のように反論した。

「ヴィタリックよ、黙って自分が詳しい分野について話したらどうだ。プルーフオブステークについて2013年から約束していて、我々はスケール化(規模の拡大)が可能で分散化されていて安全なシステムを待っているんだ。ただ、あなたの三位一体の原理が一貫性のないことが示すように、それは不可能なようだね」

イーサリアムの開発者は、規模の拡大や効率的なネットワークを目指してプルーフオブワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)への移行について議論を続けている