【リップル重役インタビュー】価値のインターネットで世界を変えたい

 2018年1月、リップル社の銀行関連業務におけるグローバル・ヘッドにマルジャン・デラティネ氏が就任した。同氏は17年にリップルに入社する以前、SWIFTで10年間、ビジネス・ディレクターとしてグローバル・ペイメント・イノベーション(GPI)などの様々な銀行業務ソリューションの商業化に取り組んだ。「フィンテックの女性:パワーリスト2017」にも選ばれたデラティネ氏は自身のキャリアにおいて、革新的な取り組みに関わる事業戦略開発で素晴らしい能力を発揮してきた。

 コインテレグラフは、独フランクフルト・アム・マインで開かれた仮想資産会議で、デラティネ氏と会う機会を得た。営業の指揮や銀行業務における彼女の経験や、銀行や決済プロバイダーの世界規模ネットワークであるリップルネット、世界の決済の将来に関する彼女の考えについて話を聞いた。

 

 コインテレグラフ(CT):2017年にリップル社に入る時、リップルの何に惹かれたのか

 マルジャン・デラティネ(MD): ビジョンだ。インターネット上でやり取りされるデータの様に、瞬時にお金を転送できる「価値のインターネット」に感銘を受けた。SWIFTで働いていた時、コルレス銀行はSWIFTの中核業務だった。そこでは多くの問題を目にした。私はそれを変えたかった。子供っぽく聞こえるかもしれないが、世界をより良い場所へと変えたいと思っている。

 

 CT:あなたの専攻は心理学だが、それを仕事でどのように応用しているのか

 MD:私は心理学を学んでいたが、ビジネスも学んでいた。私が心理学とは何処ででも使える物だと考えている。私が心理学の研究で学んだことは、どのように顧客へと近づいていくかということだ。顧客を操ることは必ずしも必要ではないが、彼らのニーズを詳しく理解することは重要だ。心理学を学んだことはビジネスの場面において、関係性を築いたり、顧客とのやり取りをうまく行ったり、彼らの信頼を得るのに役立っている。

 

 リップルネットとコミュニケーション

 CT:リップルネットの概要は。リップルはどのように決済の問題を解決するのか?

 MD:それはとても良い質問だと思う。リップルネットにより各銀行は国境を超えた決済を瞬時に行うことができるようになる。エンドツーエンドのトラッキングと、リアルタイムにメッセージを互いに送信することで、取引の実施前に決済の内容について承認し、また決済の完了後に送金を承認することで実現される。リップルネットを使えば、ほんの数秒で取引を完了することができ、流動性費用を最小限に抑え、顧客体験を向上させることができる。

 

 CT:既に多くの銀行がリップルネットに加盟している。世界の金融機関はなぜリップルネットを採用するのか

 MD:リップルネットには100以上の銀行や決済サービスプロバイダーが加盟している。彼ら全てに対して同じレベルで導入が進んでいるわけではない。一部の組織は他より早く加盟したため、より導入が進んでいる。

 リップルに加盟する際には弊社のルールブックまたはネットワーク合意書に従う必要がある。これにより全ての参加者に対し、ネットワークを使用する際の整合性を保障することができる。これはこのようなルールブックを物事の第一歩として捉えている銀行にとって大変重要なことだ。弊社のネットワーク上では大変高額な決済取引が行われているため、このことが弊社と提携している銀行に安心感と信頼を与えている。

 

 CT:どのようにして新たなパートナーを勧誘しているのか。伝統的な金融機関との話し合いにおける難しさは何か

 MD:新しいパートナーを勧誘するには時間がかかる。特に巨大組織であればなおさらだ。彼らはより複雑な古いシステムを使っており、また投資を行う際には見返りがあることを必ず確かめなければならない。

 しかし、我々は銀行がリップルと話し合う時の姿勢に顕著な変化が表れているのを感じている。リップルがこれまでに築いた信頼と、既にバンク・オブ・アメリカなどの多くの大手が我々のネットワークに参加していることで、新しいパートナーはリップルがうまく行っていると信用しやすくなっている。

 


 XRPとリップルは同じ物ではない

 CT:リップルに関するフェイクニュースや虚偽の情報にはどう対処しているのか

 MD:リップルが何であるのか、そしてリップル社のデジタル資産であるXRPとはどういった物であるのかということについて混乱が生じている。仮想通貨であるXRPは国境間の送金のために設計されており、噂は切り離して考えるべきだ。

 我々は現在規制当局と極めて密接に協力しており、またリップルでは大変厳しいコンプライアンスと規制関連の業務が行われている。我々は規制当局と協力しており、彼らの目から逃れようとはしていない。我々は自分たちのパートナーに情報を提供し、彼らのプロジェクトとより密接に協力を行っていく。

 我々はイングランド銀行と提携しており、またサウジアラビア金融局と新規のプロジェクトを開始した。我々はこのように規制当局との対話を継続し、彼らが我々が仮想通貨XRPで何をしているかを理解できるようにしていく。


 CT:リップルの課題は何か。それにどう対処していくのか

 MD:新規のプロジェクトに取り組んでいる我々にとって、あらゆる困難は改善を行うための機会となる。世界規模のネットワークを構築することは簡単ではないし、時間もかかる。だからコアバンクとはどういったものかや、現在自分たちが作り出しているエコシステムに関して、我々はとても鋭敏でなければならない。単なる銀行の集まりとは違うからだ。

 同時に、我々は決済サービスプロバイダーと協力し、彼らを銀行と結びつける取り組みを行っている。我々は企業と話し合い、彼らと銀行や決済サービスプロバイダーとの結びつきをどう改善させていくかを探っている。こういった活動はもちろん多大な労力と鋭敏さを必要とする。そういったことが直近の数週間における我々の優先事項であると考えているし、できるならば数年先の未来までそうであって欲しい。

 


 価値のインターネットが現実の物になろうとしている

 CT:決済とフィンテックの未来はどのようになると考えているか。どのように発展していくのか

 MD:決済の将来は、私は特にヨーロッパの環境においては、PSD2(※)と、組織間での個人情報の共有を可能にするオープンバンキングにかかっている。この2つが多くの競争を生みだし、より良い顧客体験を作り出していくと考えている。(※  欧州連合で2番目の決済サービス指令。2018年1月13日に施行され、オンライン決済の保護を改善し、決済サービスのイノベーションを促し、国境を越えた決済をより安全にすることを目的としている。)

 私は決済と決済のイノベーションの量は今後劇的に増加していくと考える。今や価値のインターネットはブロックチェーン技術のおかげで現実の物となりつつある。伝統的な銀行組織はそれに加わるか、適応しようとしなければならない。さもなければ彼らは競争に敗れるだろう。

 私は現金が消えるとは言っていない。将来も我々は現金を保有し、使っていることだろう。しかし、銀行が消費者に提供するサービスの性質は全く異なった物となるだろう。