新たに立ち上げられた非代替性トークン(NFT)マーケットプレイス「デジタル・ビットコイン・アート・アンド・アセット(DIBA)」の創設者兼CEOであるギデオン・ヌウェゼ氏は、NFTをビットコインに導入する新たな別な方法が存在し、それがブロックスペースや取引手数料に影響を与えないと考えている。

ヌウェゼ氏は最近、この信念を試すため、NFTマーケットプレイスのベータ版を5月19日に立ち上げた。オーディナルズを利用する代わりに、RGBスマートコントラクト・プロトコルを活用してビットコイン(BTC)ネットワーク上にNFTを発行している。

オーディナルズ・プロトコルが今年1月に導入されて以降、ビットコインベースのNFTやトークンは急速に人気を博しておりDune Analyticsのデータによると、そのインスクリプションの総数は900万以上にのぼる。しかしオーディナルズの台頭は、ブロックスペースや取引手数料への影響を含む論争も巻き起こしている。

The total number of Ordinals inscriptions since inception. Source: Dune Analytics.

一方RGBスマートコントラクト・プロトコルは2016年に導入され、ビットコイン開発者のジャコモ・ズッコ氏により「BHBネットワーク」として紹介され、その後2019年に再ローンチされた。これは、ライトニング・ネットワークの機能を持つ暗号化トランザクションを可能にし、ユーザーがネットワーク上で大量のブロックスペースを占有することなくNFTを発行することを可能にする。

ヌウェゼ氏はコインテレグラフに対し、「非常に複雑な」方法であるが、基本的にはイーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションと同じように動作し、ビットコインの新たなブロックスペース問題を解決することができると主張した。

新たに導入されたオーディナルズ・プロトコルにより発行されたアセットは、非効率的で「不格好」という理由で批判を受けている。ヌウェゼ氏によれば、これはオーディナルズがアセットをビットコインのブロックチェーン「内部」に直接記述するのためだ。それに対し、RGBはネットワークの上にトランザクションを重ねる点が違うと、同氏は言う。

「私が家を建てるとき、すべてのストレージを基礎の中に入れるわけではない。部屋やストレージを基礎の上にレイヤー状に建てる。オーディナルズはすべてを基礎の中に詰め込もうとするのに対し、スマートコントラクトはすべてをその上の階に置く」

なお、RGBプロトコルはNFTのみを発行することが可能であり、BRC-20トークンは発行できないとのことだ。

しかし「トラストレス・コンピューター」という別のプロトコルがあり、これはスマートコントラクトを活用してBRC-20トークンを発行する。このプロジェクトはレイヤー2ではなく、「レイヤー1内のプロトコル」で、スマートコントラクトを使ってトークンの帯域幅を80%から90%減らすという。

ヌウェゼ氏の発言は、トラスト・マシーンズのCEOであるムニーブ・アリ氏の発言とも一致している。アリ氏はコインテレグラフとのインタビューで、オーディナルズのハイプがビットコインがより多くの開発者や資本をレイヤー2ソリューションに引き付ける可能性があると主張している。

アリ氏は、スケーリングソリューションが存在しない場合、高い手数料と混雑したネットワークが長期的にビットコインの大量採用を遅らせる可能性があると主張した。

一方、jan3の創設者であるサムソン・モウ氏を含む多くのビットコインの主要な支持者たちは、オーディナルズとBRC-20のハイプは「数ヶ月のうち」に収束するだろうと主張している。

しかしヌウェゼ氏は、ビットコインネットワーク上で作成されているプロトコルとアセットの持続性を強く信じている。これは主に、開発者たちがTaprootアップグレードの全潜在能力を活用し始めていることが大きな要因である。

「私たち[DIBA]が行うすべてのことは、Taprootを使っている。なぜなら、Taprootはブロックスペースを減らすために設計されたからだ。すべてのことが最小限のブロックスペースを占有する。なぜなら、Taprootのトランザクションのサイズは、通常のビットコインのトランザクションよりもはるかに小さいからだ」

ヌウェゼ氏がビットコイン上のNFTに興奮しているのは、純粋な開発とコードだけでなく、文化とその共有された体験にも大きく関係している。「芸術と音楽こそが人間の心を歌わせるものである。それらを使って、より多くの人々をビットコインやライトニングに紹介することができれば、私たちは勝っている」と彼は述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン