東京大学は4月6日の発表で、ブロックチェーン技術を使った「デジタル裁判所」のメカニズムを考案したことを明らかにしている。
東京大学経済学部の松島斉教授と、ブリティッシュコロンビア大学経済学部の野田俊也氏による研究で、「費用の掛かる法的手続き」を必要とせずに法的紛争を解決することを目指している。
発表の中で、東京大学は、今回のメカニズムが中央集権的な管理なしのスマートコントラクトに関するアイデアの延長であると記している。
デジタル裁判所の利点と課題
東京大学は、システムの利点として、ほとんどの段階がブロックチェーンからは離れて発生することであり、それは紛争に関与する当事者の記録を維持するために使われると説明している。
松島教授は、ブロックチェーンベースのメカニズムの設計に関して、次のように詳細を記している。
「一部の合意に違反している疑いがある場合、関係者は彼らの意見をこのデジタル裁判所に投稿する。裁判所はアルゴリズム的に当事者の意見を集約し、誰が合意に違反したかを判断する。デジタル裁判所が当事者が合意に違反したと判断した場合、当事者は合意当初に預託した資金を差し引かされることで罰金を科されることになる」
一方、彼らはこのメカニズムが直面しなければならい重要な要素があることを明らかにしている。研究者によると、ブロックチェーン技術は分散化され、規制されていないため、悪意のある目的や意図で利用される懸念があるという。デジタル裁判所も同じ問題に直面にする可能性があるという。
松島教授は、このような懸念について次のように述べている。
「いくつかの点でブロックチェーンは諸刃の剣だ。しかし、この種のシステムは新しい経済パラダイムの幕開けを示唆するものであり、それを恐れて無視するのではなく、受け入れて探求していかなければならない」
このような「デジタル裁判所」のアイデアは世界各国から出ている。今年2月には、分散型オンライン裁判所の「アラゴンコート」というプロジェクトが発表されている。アラゴンコートのチームは、紛争解決について「国の管轄権や国境といった従来の人工的な障壁」を排除することを目指しているという。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン