サイバーセキュリティ企業のカーボン・ブラックによると、今年の前半に盗まれたデジタル通貨の総額が約11億ドルに上った。7日にCNBCが報じた

 カーボン・ブラックは、犯罪者は巨額の仮想通貨を盗むためにダークウェブを悪用したと指摘。現在1万2000のマーケットプレイスと3万4000の取引がハッキングされる危険性があると予測した。ダークウェブは、特別なソフトウェアを使ってアクセスでき、利用者が匿名でほとんど追跡不可能なのが特徴だ。

 カーボン・ブラックのセキュリティ・ストラテジストであるリック・マクロイ氏は、CNBCとのインタビューで、基本的なマルウェアは平均224ドルで、安くて1.04ドルのものもあると話した。マクロイ氏によると、中にはカスタマーサービスまでしっかりついている場合もある。現在、マルウェアの市場規模は、670万ドルになるという。仮想通貨の窃盗は、組織的な犯罪カルテルやギャングによって実行される場合もあるが、高度な教育を受けたエンジニアによる単独犯で、副業で行っているケースもしばしば見受けられるという。

 マクロイ氏は、以下のように発言した。

 「世界にはコーディングは教えるが仕事がない国がある。窃盗は、ルーマニアに住むたった2人の人間が家賃を払うために行う可能性もある」

 銀行やその他の金融機関と違って、仮想通貨の利用者には、預金を守ったりハッカー攻撃による損失を取り戻したりするためのサポート体制がない。マクロイ氏は、仮想通貨の利用者にセキュリティに対して敏感になるよう注意を促した。

 「我々は銀行に頼っている。セキュリティ対策のツールはあるのだから、投資家はどうやってそれを使うか学ばなければならない。多くの人が、この新たなゴールド・ラッシュ時代において人々が使っているのはクラウドウォレットであり、お金を厳重に保管していないことに気づいていない」

 カーボン・ブラックによると、今年のサイバー犯罪の一番のターゲットは取引所で、全体の27%を占めた。