国際決済銀行(BIS)によると、メタバースが一部の民間企業に支配され、分断されるのを防ぐためには、規制された相互運用可能な支払い技術が必要であるという。
メタバースとして知られる没入型CG環境に対する関心は、フェイスブックがメタに社名を変更した2022年初頭にピークを迎えた。BISが発表した調査ペーパーでは「メタバースが広く採用されるというのは確定路線ではない」と指摘。ユースケースのいくつかは明らかに "ギミック(不安定なもの)"があり、現在までには投機的な要素が強かったという。
「メタバースの土地売買の量はこれまで、実世界の不動産価格と相関していた。[...] しかし、ビットコインの価格とも強く相関しており、投機が主な動機であることを示唆している。」
いくつかのユースケースは継続して発展しており、大口投資家もこのセクターに関心を持ち続けている。特にゲーム、電子商取引、教育、医療はメタバースの成長分野のようだ。保守的な想定でも、今後10年間にメタバース市場の価値は数兆ドルに達するとされている。

調査はメタバースを中央集権型と分散型プラットフォームに分けて分析。中央集権型の場合、プラットフォームは「プラットフォーム内の支払いの仕組みをどのように機能させるかについて全ての決定を行う」企業によって所有されている。このタイプのプラットフォームは、支払い方法にかかわらず、オペレーターによって中央集権的に制御される支払いシステムを利用している。安定性を維持したり、ユーザーの取引を制限したりするために操作可能なネイティブトークンを持つ。ロブロックスのロブックスやセカンドライフのリンデンドルが例として挙げられる。
ディセントラランドやザ・サンドボックスに代表される分散型プラットフォームは、より大きな経済とつながるために仮想通貨取引所に依存しているという。トークン化されたデポジットや中央銀行デジタル通貨など、他の支払い方法が台頭する可能性がある。特にCBDCは、国境を越えたアプリケーションを容易にするのに適していると指摘し、次のように述べている:
「これらのシステムは、分散化の幻想を提供するだろう。」
著者らは、メタバースのガバナンスや技術的側面に対するユーザーの関心がしばしば低く、何よりも使いやすさを重視するという他の研究を引用した。分散型メタバースは中央集権型に比べて「非常に小規模」であるという。
What is the potential economic impact of services in the #Metaverse? Widespread adoption of tech like #VR and #AR could mean a blurring of lines between tradables and non-tradables, greater cross-border integration and new demands on payment services https://t.co/xoSv1tF9gx pic.twitter.com/TGiuXVlpN0
— Bank for International Settlements (@BIS_org) February 7, 2024
調査では、メタバースは、サービス価格の地理的国境を排除し(「経済の貿易可能部門と非貿易可能部門の境界線を曖昧にする」)、国際的な地理的統合を促し、労働市場を変容させることによって、世界経済を変える可能性を秘めているという。出現しつつあるメタバースがもたらす潜在的な恩恵を活用するために、中央銀行と規制当局は留意すべきであると著者らは主張した。
"仮想環境やマネーが断片化し、強力な民間企業に支配されるのを防ぐため、当局はユーザーの要求を満たすことができる、より効率的で相互運用可能な決済を促進する取り組みを強化するべきだ。"