世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いるレイ・ダリオ氏は、6日、「世界は狂った。そしてシステムは壊れた」というタイトルでブログを更新した。その内容から、仮想通貨業界から「ダリオ氏はビットコイニスト(ビットコイン支持者)だ」という見方が出ている。

ドル、円、ユーロに危機感

ダリオ氏は、「信用のある者にとってマネーはフリー」であり「投資家は信用ある者に対して(低金利やマイナス金利のため)貸した額を下回る金額が返済されても気にしない」と指摘。これは「投資しなければならない巨額なマネーが中央銀行によって押し付けられた」結果であり、消費より投資が優先される結果、経済成長や物価上昇が後押しされない理由になっていると解説した。

また、マネーが有り余っている投資家自身も「革命的なハイテク企業の成功ストーリー」を信じており、スタートアップが利益を出さなくてもよくなってしまっている現状を作っていると懸念した。

さらにダリオ氏は、日本、米国、EUを名指しして国の借金問題について言及。事態打開のため政府による巨額債務の発行が必要な状況だが、「たとえマーケットにとって大打撃でも金利を上昇させずには売れない額」であると述べた。その際、十中八九、中央銀行が購入者として名乗り出るが、「健全なファイナンスは窓から投げ捨てられ続け、おそらくその悪循環は加速する」と話した。

一方、米国でも年金問題があり、「年金を払う義務のある多くの人々が十分なお金を持っていない」と指摘。解決策として考えられる「最も簡単な方法は、マネーの印刷」であるが、かなりリスクがあると警鐘を鳴らした。

ダリオ氏によると、「結局、マネーの量で表示される借金の返済やその他の金融的な義務の履行に必要なのは、債務者がマネーを配ること」であり、「印刷できるマネーの量に限界はない」ため最も簡単な方法として採用されがちだが、「この方法の大きなリスクは、世界の3大準備通貨の確かな富の貯蔵手段としての価値を脅かす」と警告した。

ダリオ氏はビットコイナー?

ダリオ氏の最新ブログには、ビットコインや仮想通貨という言葉は出てこない。

しかし、モルガン・クリーク・デジタルのアンソニー・ポンプリアーノ氏は、「レイ・ダリオはビットコイナーだが、まだ気づいていない」とツイート。

また、「レイ・ダリオは、議論の余地があるがビットコインにとって最も強気なマクロ関連の文書を書いた」とい声も出ている。

ダリオ氏は、7月、投資家に対してパラダイムシフト転換を意識するように勧め、金(ゴールド)などの資産をポートフォリオに加えることを提案した

【関連記事:「富の蓄積で次にベストな手段は?」米カリスマ投資家レイ・ダリオ、投資家に思考を促す 仮想通貨ビットコインの可能性は