ポイント
・史上最高値更新、11万ドル到達
・週明け、史上最高値への最終関門10.6万ドルクリアし勝負あり
・減税法案・20年債入札低調でドル不安
・需給は改善も、材料は揃っておらず、20万ドルへ向けた本格上昇はもう少し先か
昨日のBTC相場
昨日のBTC市場は上昇。
朝方、10.7万ドル(約1535万円)台の戻り高値を更新すると、午後には10.8万ドル(約1550万円)にワンタッチ。海外時間には10.9万ドル(約1565万円)台の史上最高値を更新し、今朝方には11万ドル(約1580万円)台に上値を伸ばしている。
BTCは先週金曜日の米国債格下げを受け、週明けの先物市場でトリプル安(ドル安・株安・債券安)が発生。ドルの信用低下というストーリーで一時10.7万ドルを付け、前週までの戻り高値を更新した。
その後、失速したが、同日の米市場がオープンすると、トリプル安が回避されたことでリスクオンに転じ、上昇。どちらに転んでもBTCが上昇する構図となった。
期待されたウクライナの和平交渉は停滞し、イスラエルがイランを攻撃するとの報道も出回るなど、地政学リスクの高まりが相場の上値を抑えた。しかし、JPモルガンがBTC市場参入を示唆、ブラックストーンも少額ながらETFを通じてBTC投資に参入し、ETFフローも2日で10億ドルに達するなど、需給の後押しがあった。これにより、昨日朝方には月曜日の戻り高値をわずかに更新した。
さらに、テキサス州の戦略BTC準備法案(SBR)が第2読会という重要なプロセスを圧倒的多数で通過し、成立に目途が立ったこともあり、市場には史上最高値に向けた機運が高まった。午後には10.8万ドルにワンタッチした。
佳境を迎えた減税法案審議で、ジョンソン下院議長が同日中の可決に自信を示す中、米株が安寄り後に上昇に転じるリスクオンの流れに乗って、BTCは10.9万ドル台に上伸。1月に付けた史上最高値を更新した。
しかし、米20年債入札が低調となり、超長期債金利が急上昇すると、格下げと減税による米国債売り懸念が強まり、米株が急反落。BTCも10.6万ドルまで失速した。
それでも、トリプル安によるドルの信用懸念が再燃し、テキサス州のSBR法案が議会を通過して知事の承認待ちとなったことも加わり、BTCは反発。共和党が減税法案の修正案を発表し、可決に向けた最終局面を迎える中、BTCは11万ドルに値を伸ばしている。
本日のBTC相場
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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。