著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・一時55,000ドル台に値を落とすも、58,000ドル台半ばに値を伸ばす
・TV討論会でハリス氏健闘、予想市場でトランプ氏がリードを失う
・CPIは若干強め、9月利下げ幅は0.25%との見方広がる
・エヌビディアCEO講演受け同社株が急反発、リスクオンムード広がる
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は下に行って来いの展開。
昨日早朝、58,000ドル(約830万円)を付けるも失速、海外時間に55,000ドル台で切り返すと、今朝方58,000ドル台半ばに値を伸ばしている。
BTCは円キャリートレードの巻き戻しとエヌビディア株の暴落によるリスクオフなどもあり週末に52,000ドル(約745万円)台まで値を落としたが、ドル円やエヌビディア株の反発もあり水曜日と木曜日早朝の2回58,000ドルにタッチした。
しかし、58,000ドル台後半には8月26日の高値65,000ドルから52,000ドル台に下げた半値戻しが控えており、TV討論会とCPIを控え様子見姿勢が広がる中、上げあぐんでいた。
注目のTV討論会ではハリス氏が健闘、トランプ氏も冷静さを保った印象だったが、予想市場のトランプ氏のリードが解消、フライング気味に出回っていた「もしトラ」ポジションのアンワインドもあり、討論中に56,000ドル台に失速した。
討論会後は歌手テイラー・スイフト氏がハリス氏支持を表明、ハリス氏勝利を宣伝する報道が出回り、また中川日銀審議委員が植田総裁の利上げ方針を踏襲したことを受けドル円が140円台に値を下げる中、BTCは56,000ドル近辺に値を下げた。
注目のCPIは前年比でヘッドライン2.5%、コア3.2%と事前予想通りだったが、コアの前年比が0.3%と予想の0.2%を上回った。これを受けて9月FOMCでの利下げ幅は0.25%に決まったとの見方が広がったが、この微妙に強めの数字に市場の反応は限定的だった。
米株市場がオープンするとNYダウが700ドル以上下落、一時4万ドルを割り込むと、BTCも一時55,000ドル台に失速したが、エヌビディアのジェンスン、ファンCEOが講演、同社製品への旺盛な需要を説明すると同社株が急上昇。市場の雰囲気も一変し、NYダウも前日比プラス圏に戻す中、BTCは58,000ドル手前まで急反発した。
今朝はドル円の反発を受け日本株が急伸、リスクオンの流れの中、BTCは一時58,000ドル台半ばに値を伸ばしている。