プライスウォーターハウスクーパース(PwC)・スイスは、様々な種類のデジタル資産の中で、現時点ではデジタル通貨のみが合理的に利用され得るものだとしている。PwCが7月31日にサイトに記事を掲載した。PwCスイスでシニアマネジャーとデータ分析スペシャリストを務めるロナルド・ステッドラー氏は、デジタル資産は「一見、同じように見えるが」、より詳細に見ていくと違いがあると主張する。

 ステッドラー氏は、「デジタル資産」と「通貨」を区別して論じている。なぜなら、言葉の字義通りの意味で通貨か考えられるものは「わずかしかない」からだという。同氏は、デジタル資産を3つに区分している。ビットコインのような通貨、ユーティリティトークン、セキュリティ(証券)トークンの3種類だ。

 ステッドラー氏によれば、ビットコインのような通貨は決済手段と決済ネットワークの両方の面を持ち、中央集権的な機関が関与せずに使用することができる。ユーティリティトークンは、ソフトウェアまたサービスを使用するための「燃料」のようなものだ。同氏は、イーサリアムベースのスマートコントラクトを例として引用している。

 第3のデジタル資産は、セキュリティトークンだ。企業の株式やプロジェクトの将来の利益を受け取る権利のような、デジタル化された証券の形を取っている。ステッドラー氏は、企業の新規株式公開(IPO)と同じ規制要件に該当するため、セキュリティトークンは規制面では「厄介なものになる」可能性があると述べている。

 様々な種類のデジタル資産を定義したことで、、デジタル通貨市場で投機が盛んにも関わらず、通貨としてデジタル資産が現在のところ、唯一の有用なものだと結論付けている。ステッドラー氏によれば、BTCへの投資は、「投資家が支払い手段またはデジタルゴールドとして、この通貨を受け入れることを支援する長期的な投資である」という

「技術的安定性は特に重要な役割を果たす。安全性にプライオリティーを与え、保守的な技術開発による外部の影響に抵抗していくことだ。〔中略〕…わずかなペニーに相当する少額の手数料で、ビットコインは従来の決済手段では非常に高い取引手数料がかかった国際的な取引の分野に大きな利益をもたらすことができる」

 ステッドラー氏は、「誠実なプロジェクトであったとしても」、ユーティリティトークンやセキュリティトークンに関しては失敗するリスクが高いと指摘する。「ブロックチェーン技術を取り巻く現在の誇大広告について考えれば、信用詐欺を懸念することは大きな意味があるだろう」と述べている。

 ステッドラー氏は、投稿記事の最後に、技術的・社会的・経済的観点からBTCの重要性を強調し、その革新的なビジネスモデルの可能性についても言及している。スマートコントラクトや資産のトークン化は初期段階にあり、将来的にビジネス界に大きな影響を与えると、ステッドラー氏は予測する。だたICOに関しては、「ほとんどの場合が詐欺であり、誠実なプロジェクトであっても、マーケットは容易に操作できるほど小さいものだ」とし、現在のICOの誇大広告からは距離を取った方がいいだろうとアドバイスしている。