ロシアのプーチン大統領の経済顧問を務めるセルゲイ・グラジエフ氏が、最近開かれた政府内の会合で、「仮想ルーブル」が西側諸国による経済制裁による圧力を緩和する可能性があると発言した。英経済紙フィナンシャルタイムズが1日報じた。ただし官製デジタル通貨発行に対するロシア政府の公式見解は未だ発表されておらず、発言の前後関係は不明だ。
ロシアが構想する仮想ルーブルは政府発行の法定通貨となるデジタル通貨だ。
同紙によると、グラジエフ氏は仮想ルーブルはロシアに対する西側諸国の経済制裁を無効化できる可能性があると述べている。
「(仮想ルーブルは)国家による機密性を有する取引に対して非常に適している。例えば経済制裁を考慮せずに、世界中の取引相手と決済することができる」。
「ルーブルと同じだが、流通はある方法で制限される可能性がある」。
ちなみに中銀によるデジタル通貨発行はスウェーデンやベネズエラでも検討されている。
二転三転する要人発言
仮想ルーブルに対するロシア政府の姿勢は二転三している。
ロシアTASS通信によれば、アレクセイ・モイセフ財務副大臣とロシア中央銀行のオルガ・スコロボガトワ副総裁は昨年12月28日に開かれたデジタル通貨の規制に関する会合の中で、国家デジタル通貨を発行する必要性を認識していないと述べている。
これに先立つ17年6月、同副総裁は「官製デジタル通貨は間違いなく発行される。すでに作業を開始している」と述べていた。
今回のグラジエフ氏の仮想ルーブルに対する発言はプーチン政権内で交わされる議論についての最新の手がかりとなっている。
政府内での議論が継続中
ロシア政府は15年頃から法定通貨となるデジタル通貨について公に議論している。元々は決済サービスを提供するロシアの上場企業Qiwi社が国家版仮想通貨「ビットルーブル」の構想を発表していた。
現在、ロシアの国家院は公式にワーキンググループを結成し仮想通貨のリスクと規制化について議論を進めている。
これまでロシアでは仮想通貨が完全に禁止されるのではとする報道もあったが、今のところ政府の公式見解は明らかになっていない。
プーチン大統領は昨年夏にイーサリアムの共同創始者でロシア出身のヴィタリック・ブテリン氏と会合しているが、その後マイニングやICOに関する規制の枠組み作りに乗り出している。
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