台湾を拠点とするブロックチェーン・フィンテック企業のXREXは、世界中の投資家コンソーシアムから1700万ドルを調達した。
投資家コンソーシアムは、台湾の上場企業であるCDIBキャピタル・グループが主導し、北米、ヨーロッパ、アジアの大手銀行やベンチャーキャピタルが参加している。
このほか、SBIグループのベンチャーキャピタルであるSBIインベストメント、ThreeD キャピタル、E.Sunベンチャーキャピタル、システックス・コーポレーションなど、複数の上場企業が今回の投資ラウンドに参加した。
XREXは、今回の資金を、法定通貨ポートフォリオの拡大、ライセンスの取得、金融機関やデジタルウォレットプロバイダーとの新たなパートナーシップの締結に充てるとしている。同社は、ブロックチェーン技術を活用して、新興市場におけるドルの流動性不足を解決することを使命としている。
米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模な介入や、中国やロシアにおける脱ドル化の動きなどにより、世界の基軸通貨としての米ドルの地位は脅かされているが、米ドルは依然として世界で最も広く使用されている通貨だ。国際決済銀行(BIS)が発表した「2020年米ドル資金調達報告書」によると、米ドルは外国為替取引量の80%以上を占めている。
新型コロナウイルスにより、特に米ドルに大きく依存している新興市場では、米ドルの流動性にさらなる負担がかかった。このような流動性の問題は、パンデミックが発生する以前から、世界の商業や貿易に影響を与えていた。2019年にアジア開発銀行が実施した貿易金融に関する調査では、回答者の約30%がドルの流動性を大きな障害として挙げた。
XREXの共同創業者兼CEOのウェイン・ファンは、「米ドルの流動性に安全にアクセスできない苦悩を痛感している」と述べた。これを受けて、XREXは規制当局や金融機関と協力して、新興市場のマーチャントや中小企業が為替差損を減らし、米ドルへのより確実なアクセスを可能にするツールを開発している。