米国証券取引委員会(SEC)が米イーコマース大手のオーバーストック・ドットコムの仮想通貨を扱う子会社ティーゼロの新規仮想通貨公開(ICO)を調査し始めたようだ。ティーゼロが今月1日に発表した「私募に関する覚書」の中で伝えた。これを受け、同社株は10%急落している。
オーバーストックは仮想通貨への積極的な取り組みで知られ「仮想通貨テーマ銘柄」となっていた。同社株は昨年10ドル台で取引されていたが、仮想通貨相場が盛り上がった秋頃から急上昇を始め、一時80ドルまで高騰。現在でも約60ドルで取引されている。
2月28日にウォールストリートジャーナル誌(WSJ)に寄せられた匿名情報によると、SECは仮想通貨関連事業に対する捜査を開始したようだ。
(参考記事「米証券取引委員会 複数の仮想通貨関連業者への調査を開始 召喚状等送付」2018年3月1日)
ティーゼロが3月1日に発表した資料は「今後トークンを発行できるかは保証できず、発行されたとしても、厳しい法的および契約上の譲渡制約が課され、SECの規制義務に従わなければならない可能性」について述べている。
オーバーストックのパトリック・バーンCEOは、SECが「(仮想通貨)業界全体を調査しようとして」おり、この動きを「支持している」と述べている。「規制を厳しくすればするほど、我々の業界が良く見えてくる」。
またバーン氏は「誰もが証券だと知っている」と述べ、多くの売り出しは証券市場で売られていなくとも実質的に証券であり、SECはICOに関して「無知」であると語っている。
オーバーストックは、同社のICOについて伝統的な証券申告ではなく、規制DとSの対象であると申告した。それは、米国市民がICOに投資するには、公認の投資家(純資産100万ドル以上、または年収20万ドル以上)でなければならず、海外での取引には米国市民は関与しないというものだ。
SECへの申告書類を見ると、ICOは17年12月に開始され、1100人の投資家から約106億円を調達した。ティーゼロのホームページには、「私募」期間が18年3月30日まで延長されたことが発表されている。
今年の1月には、同じ規定に基づいてイーストマンコダックが独自のICOを開始すると発表し株価が急進。ところが公認投資家たちの身元確認のチェックに時間を要しており公開日を延期している。