イニシャル・コイン・オファリング(ICO)のプロジェクトのウォレットから、仮想通貨イーサリアム(ETH)が急速に流出している状況だ。暗号資産のデータ分析を手掛けるSantimentが17日に公表したデータによれば、過去30日で40,000ETHが流出している。

Ethereum moved out of ICO teams’ wallets Nov. 18 - Dec. 17 2018. Source: Santiment

Sanitmentのデータサンプルは、ETHを取引所まで追跡しているわけではない。そのため、ウォレットから流出したETHが必ずしも売却されたとは限らない。Sanitmentは「売却された可能性」を「示唆する」ものだと述べるに留めている。

Sanitimentが示すデータによれば、9月や10月に比べて、直近の30日間でICOチームのウォレットからETH流出量は大幅に上昇していることを示している状況だ。

Ethereum moved out of ICO teams’ wallets Sept. 18 - Dec. 17 2018. Source: Santiment

Sanitmentは、そのサンプルの中から特定のウォレットの内訳を示し、過去30日間で「消費した」ETHの額に応じてランク付けを行っている。そのランキングによると、SingularDTV(エンターテインメント業界向けのプラットフォーム)は11月中旬から、60,370ETHを「支出」している。これは39件のプロジェクトの中でトップだ。Singular DTVのウォレットには、まだ165,000ETHが保有されている。ちなみにこのICOはトークンセールで585,430.62 ETHを調達した。

Ethereum wallet balances. Source: Santiment

他のICOでは、アラゴン(50,000ETH)、Kyber Network(47,290ETH)、Friendz(40,870ETH)、Status(40,000ETH)といったプロジェクトの名前が並んでいる。

Digix DAOとGolemは数多くのETHを保有しているプロジェクトだ。それぞれ395,430ETHと369,020ETHを保有しているが、この2つは過去30日間でETHを売却していない。

ICO分析会社ICORatingの調査によると、今年第3四半期のICOによる調達額が全体的に減少したことがわかった。ICORatingのデータによると、第3四半期は597のICOが18億ドル(約2030億円)を上回ったが、これは第2四半期の83億ドル(約9354億円)と比べると大きく減少した形だ。

米国のアナリストたちは、米証券取引委員会(SEC)による規制の曖昧さのため、数百のICOプロジェクトの資金調達モデルがリスクに直面していると指摘している。