世界初の仮想通貨であるビットコインは、2023年1月に40%上昇し、10年ぶりの高記録を出した。これについてゴールドマンサックスは、1月はビットコインが世界で一番パフォーマンスの良い資産だったと認めざるを得なかった。

ビットコインの価格上昇を支えたのはマクロ経済的な要因と考えられるだろう。とりわけ、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げに対する慎重な姿勢が、リスク資産への強欲な投資姿勢を促したかもしれない。1月のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB0.25ポイントの利上げに踏み切ったが、これは昨年12月の0.5ポイント、11月の0.75ポイントより上げ幅が小さい。金融政策の影響に対する深い配慮のもと実行されたようだ。

FRBのパウエル議長は、FOMC後の記者会見で、「今後2、3回の利上げで適切な抑制レベルに
到達することを計画している」と述べた。

デジタル資産供給業者のKaikoによると、CPI発表時にビットコインのボラティリティが高くなる傾向がある。

では、ビットコイン価格とFRBの利上げの相関関係は続くのだろうか?Spartan CapitalのCIOであるKelving Koh氏は、「今後数ヶ月でインフレが抑制される中、マクロ要因とFRBがビットコインをはじめ仮想通貨市場に与える影響は小さくなるだろう」と述べた。

KaikoのリサーチディレクターであるClara Medalie氏は、「ほとんどの仮想通貨は二桁%の上昇率をみせ、ほとんどの株価のパフォーマンスを上回っているが、今回の仮想通貨上昇はビットコインに牽引されている」と分析。取引量も11月以来の水準に戻っていると指摘し、「仮想通貨市場に資金が戻ってきた」と話した。

ただ、LedgerのCTOであるCharles Guillemetにとってマクロ要因は元から関係ない。ビットコインが年初来で最もパフォーマンスの良い資産の一つだったという事実は、ビットコインの不変性を証拠付けたに過ぎない。

「ビットコインは10分ごとにブロックを一つずつ追加し続けている。そして、その価値は今まで変わったことがない。いつも1 BTC = 1 BTCだ」。

強気相場は戻ってきたのだろうか?難しい質問だ。一部の専門家にとっては、仮想通貨は売られ過ぎているだけだ。Relm InsuranceのCEOであるJoe Ziolkowski氏は、「売られ過ぎから回復しているだけだ。個人・機関投資家の双方が仮想通貨を買い増す好機と捉えたのだろう」と述べた。

現状ビットコインは、次の強気相場が始まる前に形成される適正価格に戻っているだけなのかもしれない。

 

著者 Ledger

プロフィール:2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。公式サイト:https://www.ledger.com/ja