2015年、イーサリアムは、第三者団体を介さずに世界の数十億人の人々が価値の交換ができるという新たなインターネットの世界を提案した。この世界の実現には時間がかかる。これまでイーサリアム上で取引記録の渋滞は長引き、ユーザーの高まる需要に処理能力が追いつかなかった。

そこに登場したのがレイヤー2のプロトコルだ。イーサリアムのようなレイヤー1のブロックチェーンの上に存在するプロトコルで、処理能力の向上を実現し、イーサリアムの夢を実現する上で最有力候補に躍り出た。

1月7日、レイヤー2の一つであるOptimismが過去最高の取引数となる70万回を記録した。2022年9月と比べて700%の増加だ。もう一つのレイヤー2であるArbitrumと合わせると、取引数は100万回を超える。この数字は、イーサリアムのメインネットよりも多い。


(出典: Defiant 「Optimismの取引数の推移」)

イーサリアムのスケーリングソリューションであるポリゴンも、同様に勢いがある。最近、ユニークアドレス数が2億アドレスを突破。スターバックスやディズニー、メタ社など大企業もポリゴンをWeb3への入り口として使いはじめている。

2023年は仮想通貨の「冬の時代」と呼ばれている。世界で仮想通貨を使ったことがない人はまだ数十億人の単位でいるだろう。

今後の普及に向けて、ユーザーの嗜好や規制、教育、ユースケースなど多くの要素が重要になるが、その中でも重要になるのがスケーラビリティ(規模の拡張性)だろう。インターネットの2000年代の普及にブロードバンドが欠かせなかったように、仮想通貨の普及にもインフラが重要になる。Mysten LabsのSerbatius氏は、現在のブロックチェーン時代は「ブロードバンド以前の時代」と指摘している。

Web3の普及にとってレイヤー2は、ブロードバンドがインターネットに果たした役割を担うかもしれない。Web3を使う時にユーザーは根幹となるインフラについて意識する必要がない。実際にこれが今日のインターネットでも起きていることだ。

技術面でもレイヤー2は、ブロックチェーンの普及のあり方に示唆を与えている。LedgerのCTOであるチャールズ・ギルメット氏は、「レイヤー1が決済レイヤーとして機能しつつアプリが動くのはレイヤー2プロトコル」と説明する。

スケーラビリティは今後の仮想通貨の普及において重要な要素だ。ユースケースの増加との合わせ技によって、2023年は、「冬の時代」という暗い予想に反して仮想通貨の普及に追い風が吹くかもしれない。

著者 Ledger

プロフィール:2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。公式サイト:https://www.ledger.com/ja