仮想通貨の不正取引調査を手がけるチェイナリシス(Chainalysis)は8月14日、「仮想通貨の類型学: ブロックチェーンについて知っておくべき事実」というオンラインセミナーを開催した。ダークネット市場、テロ資金、犯罪に絡んだ仮想通貨アドレスのブラックリスト化、不正流出、詐欺などを含む、仮想通貨業界のリスク類型に触れた内容だ。
オンラインセミナーによると、仮想通貨ミキサー(またはタンブラー)が手がける仮想通貨の約40%は取引所からのもので、主に違法行為ではなくプライバシーの目的で利用されているという。
(出典: チェイナリシス「仮想通貨の類型学:ブロックチェーンについて知っておくべき事実」 仮想通貨ミキサーが扱った仮想通貨の内訳)
仮想通貨ミキサーは、ある仮想通貨と、(問題のない)他の仮想通貨とを混合し、元の情報源にさかのぼることを困難にするサービスを指す。プライバシー保護に役立つとうたうものの、テロ資金確保などのマネーロンダリングに利用されているとも見なされている。チェイナリシスの主張は、この見方に疑問を投げかけた形だ。
チェイナリシスは、仮想通貨ミキサーをリスクの高い類型とみなす一方、仮想通貨ミキサーが扱った全仮想通貨の40%が取引所からのもので、ダークネット由来のものは2.7%だと指摘した。
チェイナリシスのデータ担当シニアプロダクトマネージャーのハンナ・カーチス氏は、仮想通貨ミキサーの資金の26.8%は、同じミキシングサービス由来で、複数のミキシングサービスを使って何度もミキシングすることで、仮想通貨アドレスの追跡をさらに困難にできると信じる人々が存在すると説明した。
また仮想通貨ミキサーは、不正に盗まれた仮想通貨の主な送付先となっており、仮想通貨ミキサーが扱う資金の約8.1%は、これら犯罪がらみの仮想通貨だという。
チェイナリシスによると、法執行機関の法的不備や見落としにより、中央集権型のミキシングサービスではなく、分散型サービスの人気が急増しているそうだ。
仮想通貨ウォレットの中でも最高レベルの取引秘匿機能を搭載しているといわれる「ワサビ・ウォレット」は、2019年1月以降その取引高が大幅に増加しており、2019年だけで合計2億5000万ドル(約264億5000万円)相当のビットコイン(BTC)のミキシングを行っているという。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版