ノルウェー中央銀行のアイダ・ウォルデン・バーチェ副総裁が6日、イベントでの演説で現金決済の減少に言及すると共に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について詳しく説明した

「決済に現金が使われているのは全体のたった4%だ」と、ファイナンスノルウェーのペイメントカンファレンスでの演説中にバーチェ氏は述べた。「この割合は春からほとんど変わっておらず、パンデミック前よりも大幅に少ない」と、彼女は付け加えた。「私たちの知る限り、ノルウェーにおける現金決済の割合は他のどの国よりも少ない」。

ノルウェーは同国の中央銀行であるノルウェー銀行が発行する通貨「クローネ」を使用している。3月に新型コロナウィルスの懸念が高まると、密な接触が発生する場所やモノが心配の種となった。その中には、常に持ち主が変わる物理的な現金も含まれていた。

CBDCは2020年の注目の話題としても浮上してきた。世界中の多くの国がそのようなデジタル通貨を生み出そうと検討を始め、先行する中国は自国のデジタル通貨の試験を行っている

「ノルウェーや近隣のいくつかの国に特有の傾向は、現金の利用割合が低く、その水準が減少を続けていることだ」と、バーチェ氏は世界のCBDCのさまざまな側面を詳細に説明した後で述べた。

中央銀行で金融政策を監督する彼女は、現金で利用できる際立った性質に言及した。例えばデジタル決済システムに不具合が起こった場合でも、現金は使い続けることができる。「現金は幅広く利用可能な法定通貨である」と、彼女は述べた。同国がもしCBDCを使って全面的にデジタル化した場合、それらの特徴の一部を失う可能性がある。

「問題は、もしCBDCを導入しないまま現金が廃れてしまった場合、重要な何かが失われることになるかどうか?中央銀行マネーは通貨制度の信頼性にとって不可欠なものであるか?CBDCはより広範な利用やさらなるイノベーションという形で、現金よりも多くのものを提供することができるか?ということだ」

またバーチェ氏はノルウェーのCBDC発行に関して、その他にも多くの考慮すべき点に触れた。「将来予想されるCBDCの導入は、まだいくらか先の話」と彼女は述べ、次のように付け加えた:

「切迫感がないのは、CBDCの導入に対する差し迫ったニーズはないという、これまでの私たちの見解を反映している。CBDCの導入は多くの分野に重大な結果をもたらす可能性がある。私たちは十分に情報を得た上で決断する必要がある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン