オランダの仮想通貨ビットコイン(BTC)貯蓄プラットフォーム「Bittr」は、2020年4月28日午前9時59分(協定世界時)に事業を閉鎖すると4月22日に発表した。同社創業者のルーベン・ウォーターマン氏によると、欧州連合(EU)の第5次アンチマネーロンダリング指令(AMLD5)を同国が導入する前に、サービスを停止させる必要があるという。

オランダでは、AMLD5導入にともない中央銀行が仮想通貨業界の監視を行い、監視費用170万ユーロ(約2億円)については仮想通貨基盤の事業体約50社が負担するものとしている。その結果、伝統的な信用およびクレジットカード会社よりも高額な負担金が発生する可能性が報じられている

オランダのAMLD5導入が、新興企業を閉鎖に追い込む

同社ブログにおいてウォーターマン氏は、「わずか28ユーロ(約3257円)相当のビットコイン(BTC)を購入する場合でも」、すべての顧客に関して、KYC(顧客確認)など身元証明に関する識別情報収集を強制されることに抗議した。

「Bittrの全顧客は、自分の身元を銀行に対し証明済みだ」と主張し、「むしろ我々は、高度な機密情報において顧客が銀行を信頼することを望んでおり、顧客は仮想通貨を安全に保管することで(我々を)すでに信頼している」と付け加えた。

ウォーターマン氏は、AMLD5によって義務づけられる規制のいくつかを実施することはいとわないとしたものの、スタートアップ企業として同氏1名で事業を運営しており、KYC文書管理や、コンプライアンス担当者の新規雇用などの余裕がないと明らかにした。

「オランダの仮想通貨関連企業すべてを銀行のように扱っており、Bittrのような新興企業は、私の考えではこの規制には適合しない」と断言した。

AMLD5とオランダ

AMLD5は、EUのマネロン対策の透明性を高め、統合されたアプローチをもたらすはずだったが、加盟国がそれぞれ自国の法律に従い異なる解釈をしている。

ウォーターマン氏によると、当初AMLD5はほとんど変更されることなくオランダ語に翻訳されたという。「しかし、業界とDNB(オランダの中央銀行)による公開協議の後、あらゆる種類の規制が追加された」と主張した。

また同氏は、(AMLD5に手が加えられていない)EUの他の場所へのBittr移転を検討するかもしれないと述べた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン