仮想通貨(暗号資産)取引所OKExは5日、インドでP2P取引プラットフォームを開始したと発表した。インドのユーザーが取引手数料なしで、インドルピー(INR)を使って仮想通貨を購入できる。

OKExのP2Pプラットフォームではビットコイン(BTC)とテザー(USDT)のペアをINRで提供。今後はさらに取扱通貨を増やしていく方針だ。

OKExは今回発表したプラットフォームについて、エスクロー(第3者)を介して法定通貨から仮想通貨を取引するマーケットプレイスだと説明。ユーザーはUPIやIMPS、NEFTとと行ったインドで利用される支払い方法が選べる。

こうしたインドでのフィアット・オンランプ(法定通貨と仮想通貨の交換の場)の提供は、トレーダーが既存のOKEx口座に直接リンクし、より広範なOKExのトレーディングエコシステムに簡単にアクセスできるようになる。

インドの仮想通貨業界は依然課題に直面

OKExは発表の中で、今年3月にインド最高裁がインド準備銀行(RBI)の仮想通貨禁止命令を違憲と判断した一方で、国内の規制状況が依然不透明であることを指摘。インド政府がRBIやインド証券取引委員会(SEC)と仮想通貨の規制枠組みについて協議を進めている段階である点に言及している。

しかし既報の通り、現在インド政府は仮想通貨の取引を全面禁止するという新法策定に向けて動いているとの報道も出ている。

OKExのジェイ・ハオCEOはコインテレグラフに対し、以前からインド市場の調査を続けていたと話す。同社のインドパートナーとの協議では、仮想通貨一律に禁止する法案が通る可能性は低いとの声が多いという。

「我々はインドのパートナーを喜んでサポートし、規制当局と協力して、彼らの主な疑問や問題点を明確にする。そうすることで、この活況を呈している産業が繁栄し続けられる枠組みを構築できると期待している」

規制の不確実性で躊躇する企業も

一方、Blockchain.comの調査責任者であるギャリック・ヒルマン氏は、インドの銀行は仮想通貨に関心を示しているが、規制の不確実性のため仮想通貨の分野に参入することを躊躇しているとインタビューの中で指摘している。

現地メディアのデータクエストとのインタビューの中で、ヒルマン氏は、Blockchain.comが同じ理由からインドにおいて法定通貨のゲートウェイを持っていないとも述べた。しかし、長期的な目標としてゲートウェイを持つ方針であるとも、彼は付け加えている。

ヒルマン氏は、この判決を取り上げて、判決以来ある程度の進展はあったものの、仮想通貨をインドの金融市場の一部にしたくないほかの規制機関の存在があるとも指摘した。

これらの機関が仮想通貨を受け入れ、明確でポジティブな規制を導入すれば、インドでは仮想通貨ビジネスの急増、企業活動や投資の成長につながると、ヒルマン氏は語る。

ヒルマン氏によれば、インドの規制当局の現在のスタンスは、この急速に進化する分野でのインドの成長を阻害しており、「インドは仮想通貨のイノベーションにおいて、ほかのテクノロジーハブに遅れを取っている」という。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン