今年3月に暗号資産交換業者としての登録を完了したオーケーコイン・ジャパン。同社が今後どのような戦略を取っていくのかを、馮鐘揚社長に聞いた。オーケーコイングループは香港や米国で取引所を展開している。

プロトレーダー向け機能で競合と差別化

既に国内では多くの仮想通貨取引所(暗号資産交換業者)がある中で、どのように差別化するのか?オーケーコイン・ジャパンの馮社長は、プロトレーダーに照準を絞ったサービスを展開することで、特徴を出していく考えだと言う。

馮氏によれば、「OKグループのシステムはプロトレーダー向けに設計されている」。さらに「現状において一番ボリュームが大きいのは、法人の投資家だ。法人顧客は、取引高全体の8割を占めている」という。そのため、法人投資家やプロのトレーダーに向けた取引所として特化していく戦略だ。

オーケーコインでプロトレーダー向けとして特徴を出していけるポイントは、3つある。1つは取引所サービスにおけるスプレッドの薄さと板の厚さ、2つ目が入出金及び入出庫への迅速な対応、もう1つがAPIの高速かつ安定性だ。

現在、オーケーコイン・ジャパンでは取引所サービスのみを展開しているが、海外の取引所も含めたOKグループ全体からの流動性があるため、スプレッドの薄さと板の厚みで競合に比べて有利だと、馮氏は強調する。

「グローバルなプライシングとも一致しており、アービトラージ取引をするプロのトレードにおいても非常に使いやすいものになっている」と話す。

またプロトレーダーの特徴の1つは、日本円の入出金及び仮想通貨の入出庫を頻繁に行うことだが、そこでもオーケーコイン・ジャパンは競争力があると、馮氏は話す。

「日本では暗号資産の入出庫に時間がかかる取引所もあるだろうが、うちではできるだけ早く入出庫することを目標にしている」。

もちろん「即時入出金・出庫」と保証することはできないが、「ベストエフォート(最大限の努力)」でなるべく速く処理しているという。

「もう1つの強みはOKグループのAPIの安定性が高いことだ」と、馮氏は強調する。オーケーコインの現物注文のAPIでは呼出上限が2秒で100回となっており、競合に比べても競争力があると馮氏はみている。

来年には新たなサービス展開も

現在オーケーコイン・ジャパンでは、取引所サービスのみを提供しており、販売所サービスは行っていない。プロトレーダー向けに特化した取引所サービスにフォーカスしているが、今足元で計画しているのは販売所サービスの開始だ。

オーケーコイン・ジャパンは、販売所サービスも開始できるように当局にライセンスを申請している段階という。

この場合も一般投資家向けというよりは、法人投資家やプロトレーダーを対象にした店頭取引(OTC)サービスの展開を考えている。

また取り扱う仮想通貨の追加も進めていく方針だ。現在はビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュの4種類だけだが、来年にはさらに取扱通貨を増やしていく。馮氏によれば複数の仮想通貨の取扱いを申請しており、日本未上場トークンも将来的には取り扱う考えだ。

さらに「来年実施できるかどうかはわからない」が、仮想通貨デリバティブのサービス提供に向けた環境整備も進める。まずは来年には、デリバティブサービスに必要な金融商品取引のライセンス取得に向けて動く計画だ。

「できるだけ早くデリバティブを日本に上陸させたい。必要なライセンス取得や社内体制の整備を進めていく」

プロトレーダーのコミュニティづくり

「日本ではプロトレーダーのコミュニティはまだまだ未成熟だ」と馮社長は述べる。仮想通貨の場合は税制などの要因から、FXに比べてまだトレーダーのコミュニティは活発でないとみる。

バイナンスやフォビといった海外取引所がプロトレーダーをターゲットにしているのに比べて、「国内の取引所でもプロトレーダーをターゲットにしているところはまだ少ない」。

「OKグループでは世界各国の拠点でコミュニティづくりの活動をしている。セミナーやシンポジウムを開き、業界についてディスカッションをするものだ。各国にはコミュニティマネージャーが配置され、活動している。日本ではまだできていないが、来年からはプロトレーダー向けのイベントを開きたい」

実際、プロトレーダーを育てることも、事業の発展においても重要なようだ。馮氏によれば、プロトレーダー10人の取引高は一般の投資家の100人分以上に相当するという。プロトレーダーの取り込みは、ビジネス面でも魅力的であるということだ。