経済協力開発機構(OECD)は12日、仮想通貨課税を報告する枠組みについて、2021年にも20カ国地域(G20)メンバーに向けて提案する計画を明らかにした。

12日に発表されたガイドライン「仮想通貨への課税」では「国際的な(取引所)も考慮しながら、仮想通貨の現地での扱いを明確にするためのガードレールを税務当局に提供する」としている。

ガイドラインではG20を含む50以上の国と地域をカバーしており、「包括的に分析した初めての報告書」と評価した。

「本レポートでは、ブロックチェーンと仮想通貨の重要な概念と定義を網羅し、仮想通貨の特性、合法性、評価に注目しながら、仮想通貨の作成から廃棄までのライフサイクルのさまざまな段階における税務上の影響を分析している。また、所得税、消費税、固定資産税の観点から、仮想通貨の税務処理の概要を説明している」

また、OECDは仮想通貨の「ダイナミックで機動性の高い性質を反映させ」、すべての国・地域が参加できる国際フレームワークを設計するという。OECDは取引所だけでなく、ウォレット業者などを取り巻く問題やステーキング報酬など、売却利益とは異なる仮想通貨関連の収入についても枠組みに取り上げられるとした。

OECDはこうした枠組みを2021年までに提示するとしている。

仮想通貨に関する包括的な枠組み

レポートでは仮想通貨の課税に関する包括的な法的・規制枠組みとして、税務当局と納税者の双方の確実性を高めるために考慮すべき点を挙げている。

主に、以下のような点を今後考慮していくとしている。

  • 「仮想通貨の税務上の取り扱いに関する明確なガイダンスと法的枠組みを提供すること」
  • 「評価に関するルールの簡素化や少額取引のために、免除とするのしきい値の検討を含め、コンプライアンスの向上を支援すること、
  • 「仮想通貨の税務処理を、現金利用の減少や環境政策の目的など、他の政策目的や動向と整合させること」
  • 「ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨、プルーフ・オブ・ステーク、分散型金融など、既存の枠組みでは適切でない可能性がある新興技術分野の税務処理について、適切なガイダンスを設計すること」

特に環境政策については電力消費の大きいプルーフ・オブ・ワークは環境への影響を考慮したコストを上乗せし、電力消費が少ないプルーフ・オブ・ステークとは税務上の処理を分けることを提案。

さらにハードフォークが発生した場合に新しいプロトコルのもとでトークンが配布される場合の課税に関しても検討することが挙げられた。