テクノロジー業界で最も影響力を持つ一人が、メタバース(仮想空間)の実世界への応用がすぐそこまで来ていると考えているようだ。
ブロックチェーンとNFTの最もエキサイティングなユースケースの1つであり、SF作家のニール・スティーブンソンの『スノウ・クラッシュ』に影響を受けた愛好家たちは、長い間、仮想通貨を動力源とするVR/AR世界を期待してきた。NvidiaのCEOであるジェンスン・フアン氏は、これを実現する技術が目の前にあると考えている。
記者とのQ&Aセッションの記録によると、「Computex」カンファレンスでフアン氏は、メタバースの「最前線にいると信じている」と述べ、ユーザーはメタバースを使い、「未来をシミュレーションする」日が来るだろうと語った。
「AR(拡張現実)世界では、あなたが持っているアートがデジタルアートになる。あなたはNFTを使ってそれを所有する。世界に一つしかない美しいアートを、完全にデジタル化して展示することができる。あなたは我々のメガネをかけているか、携帯電話を持つだろう。完璧にあなたのものであることが証明される。私たちはこのオーバーレイ、言わばメタバースのオーバーレイを私たちの物理的な世界に見ることになる」
同氏は、Nvidiaが「Voyager」と名付けた新しいオフィスビルのVR版を使って、こうした理論をすでに検証していることを指摘した。世界最大のGPUメーカーであるNvidiaは、スーパーコンピュータを使ってVoyagerの「建築シミュレーション」を行い、デザインやエコロジーの効率化に役立てている。最終的には、従業員が自宅でVRヘッドセットを装着して出勤し、ロボットを操作して物理的なオフィス空間を移動するという、VRと物理的なワークプレイスの共同作業を可能にするとのことだ。
「この建物は完全にVRの中に存在しており、完全にデジタルで設計されたものだ。今後は、この非常に物理的な建物のデジタルツインがVR上に存在するように構築していく。すべてをシミュレートして、ロボットを訓練することができる。エネルギー消費を抑えるために、空調をどのように配分するのが最適かをシミュレーションすることができる。物理的な世界で何かを展開する前に、デジタルツイン、つまりビルのメタバースですべてをシミュレートできる。VRやARを使って、その中に入ったり出たりすることもできるだろう」
最近、NFTやメタバースについて意見を述べているCEOはフアン氏だけではないが、彼が最も楽観的であることは確かだ。フォートナイトの創始者であるティム・スウィーニーは1月、NFTはメタバースの機能に向けた "もっともらしい "道筋だが、今のところは "推測の域を出ない "と述べている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン