ニンテンドースイッチの人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」(通称あつ森)の人気キャラクターが、法定通貨や電子マネーで売買されていることが一部報道で問題になっている。

同ゲームは「どうぶつの森」シリーズ最新作として2020年3月に任天堂から発売された。無人島を舞台に、自身のアバターを作り、手つかずの島でどうぶつと一緒にバーチャルの場所を作り上げていくゲームで、自粛ムードで家にいる時間が増える中で空前のブームが起きている。

この動物である住民でも特に人気なのが、メガネをかけたグレーの猫「ジャック」だ。自分の無人島にこうした人気のキャラクターを呼ぶには他の島から「引っ越し」てもらう必要があるのだが、ランダムに現れるキャラクターに出会うにはかなりのプレイ時間が必要になる。

そのため、社会人など「時間に制約のあるユーザー」がゲームする時間が足りずに、気に入ったキャラクターの交換や、ゲーム内のマイレージポイントを集めることで交換できる「マイル旅行券」をゲーム外で入手する需要が生まれている。こうしたキャラクターはTwitterやメルカリ、ラクマなどで売買されている。

Jcastニュースは開発元の任天堂が「お客様は、ニンテンドーネットワークおよびニンテンドーネットワークコンテンツに関して、リアルマネートレード(ポイントやその他の仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為をいいます。)を行うことはできません」としていると報道。ポイントだけでなくキャラクターの売買も規約に反する行為だという。

こうした問題について、世界的に人気のスマホRPG「ブレイブ フロンティア(ブレフロ)」を手がけるエイリム社の高橋英士社長はコインテレグラフジャパンに対し、「本来ゲームプレイに時間をかけて入手すべきアイテム等を、お金やその他の対価を支払うことで時間を使わずに入手したいと考えるユーザーの方は、どのゲームにおいても一定数います」と指摘する。

問題はこうしたユーザーを狙う仲介業者が法定通貨や電子マネーでビジネスをしていることだ。

この問題のための解決手段としてゲーム提供元がNFT(ノン・ファンジブル・トークン:代替不可能トークン)を導入すれば問題解決につながるかもしれない。

「NFTはその解決のための一手段にはなり得ると思います。また、ゲームの提供元が公式にその手段を導入し、ユーザーに提供すれば、仲介業者は必要性がなくなるため、いなくなると考えます」

NFTの特徴は、所有権の移行にある。これまでのゲームではアイテムやキャラクターはゲーム会社の所有物だったが、NFTによってプレイヤー自身が所有することが可能になる。高橋氏はゲームの提供元が公式に導入すれば、ユーザーは自由に取引をできるようになると指摘しつつも課題もあるという。

「ただし、ゲーム側の実装と各取引サービスとの連携が正しく行われ、不正が行われないように十分にシステムの検証が行われていることが大前提です。また、利用に当たってのUI/UXや規約の整備も課題となります。さらに、そこで行われる取引金額の是非などについては、ユーザー個々の責任の元に行われることなど、基本的理念の啓蒙と注意も不可欠になってくると思われます。」

今回の問題解決のために、NFTは重要な役割を果たすと考える高橋氏。もし今後NFTがこうした人気ゲームに導入されれば、一気にNFTが普及すると予想する。

「大変規模が大きく、有力なタイトルですので、もし導入されればその影響は非常に大きいものになると思います。もとより将来的に導入するタイトルが増え、各種環境の整備がなされて一般化されていくだろうと予想していますが、その進行を飛躍的に早める結果となると思います。」

しかしやはり現時点ではリスクも大きいようだ。高橋氏は以下のように警告した。

「ただし、ユーザー層が幅広く、若年層もとても多いゲームなだけに、現時点での導入の影響や事故防止、先述したリテラシーの確保など、危険性も高い点は否めません。」

(追記 6月19日午後14時05分)

高橋氏はリスクについて、カードに描かれたキャラクターを移住させることができるamiboカードのキャラクターについて、「何が出るかわからないガチャ要素が含まれているため、それを売買すると、賭博法などに抵触する可能性」があると指摘。

ランダムに出現する要素があるキャラクターやアイテムはNFT化しても問題ないかどうかのコンプライアンスの問題があると警告した。