NFT(ノンファンジブル・トークン)はゲームやアートといった分野での活用が進み、仮想通貨業界では大きな話題となっている。

しかし仮想通貨ライトコイン創設者であるチャーリー・リー氏は現在のブームはいずれ崩壊すると考えている。リー氏は15日、「本物のアート」とは異なり、NFTアートは制作にコストがかかっていないことを問題視した。

リー氏はリアル世界のアートは時間と労力という制約条件があり、これはビットコインやライトコインのコンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と同様のシステムであるという。リー氏はこうした制約によって希少価値が生まれ、有名アーティストの作品に価値が生まれているとの持論を展開した。

「一方で、NFTは人工的な希少性を生むだけだ」とリー氏は主張する。「NFTを作るためのコストはほぼゼロに近いため、市場は最終的に、この流行に乗って現金化しようとするアーティストのNFTで溢れかえってしまうだろう。供給が需要を圧倒し、価格は最終的に暴落する」とツイートした。

リー氏の指摘はNFTに対する批判として一般的なものだ。しかしNFTは、アート業界で横行するコピー製品に対抗するものとして注目された経緯もある。NFTによってアート作品に証明書を付与し、アーティスト側が著作権を主張できることはNFTの利点の一つだ。こうしたことでアートに希少性を生み、高価格で取引されている。

NFTでは1月に希少価値の高いCryptoPunk(1万体の小さなデジタルキャラクターによって構成されるデジタルアート。初のNFTとされる)のエイリアンのキャラクターが605イーサ(ETH)で販売された。さらに別のNFTコレクションであるHashmasksは、16,384枚の「カード」を作成し、最初の4日間で1,000万ドル以上を売りあげた。

リー氏の批判は、NFTをアートに限定しているようにも見える。実際には、NFTはゲーム内資産やデジタルランドなどより広い活用シーンがある。2月の初めには、育成・繁殖ゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」のデジタル上の土地が888.25ETHで落札されている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン