ニューヨーク州監査官のトーマス・ディナポリ氏が、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)による仮想通貨ライセンス「ビットライセンス」の管理に対する懸念を表明した。
1月の報告書でディナポリ氏は、ビットライセンスに関する同州の取り組みについて、NYDFSが適切に監督責任を果たしているとは「限定的な確信」しか持てないと述べた。NYDFSは、州内の他の金融機関の監督も担当している。
ディナポリ氏は、潜在的なライセンス申請者のセキュリティチェックの徹底性に欠ける点を指摘した。たとえば、彼のチームの調査では、サンプルとした8社の申請者のうち2社が、申請承認前に指紋採取プロセスを完全に終えていなかったことが明らかになった。NYDFSは、申請者の税務義務や最低純資産の文書の確認を行った証拠も提供していない。
監査官当局はまた、NYDFSが行うべきライセンス保有者の財務状態やビジネスの健全性に関する2年ごとの検査と、実際に行われた検査との間に3年のギャップがあることを発見した。場合によっては、企業から提出されたマネーロンダリング対策文書とビットライセンスの付与の間に4年が経過しており、それらの文書は現在では時代遅れになっている可能性がある。
ディナポリ氏は、「検査フォローアッププロセスのための正式な手続き」を確立することを推奨している。
報告書には、監査に対するNYDFSの反応も含まれており、同部門はこの「改善の余地」を既に特定し、検査結果に対するフォローアップを追跡するテンプレートを採用したとしている。2023年4月、この目的でビットライセンス検査結果追跡手続きを実施した。しかし、監査官は、サンプルとした8社のライセンス保有者のうち1社についてのみ追跡メモがNYDFSから提供されたと指摘している。
ニューヨークで事業を行う仮想通貨企業は、2015年以降NYDFSを通じてビットライセンスの申請が義務付けられている。現在、ライセンス保有者のリストには、ビットペイ、サークル、コインベース、ジェミナイ、パクソス、ペイパルなど32社が含まれている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン