テキサス大学教授の新しい研究は、4年前のEOSのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で不正行為が行われた可能性があると主張している。

2017~18年のEOSブロックチェーンの43億6200万ドルにのぼる記録的なICOについて、テキサス大の研究者が懸念を表明した。このBlock.oneによる大型ICOは、ペイパル共同創設者であるピーター・ティール氏や著名投資家のアラン・ハワード氏らが参加したことでも知られている。

8月31日、テキサス大学のジョン・グリフィン教授と財務分析企業インテグラFECが新しいレポートを公開した。このレポートによれば、EOSの価格が仮装売買(ウォッシュトレード)で吊り上げられたと疑いがあるという。

ブルームバーグによる解説記事が指摘しているように、バイナンスやビットフィネックといった仮想通貨取引所で仮想売買されることで、EOSの価格が人為的に高騰させられた。仮装売買では、あるグループや個人が同じ資産で買い手と売り手を同時にこなし、人為的に取引高や価格をつり上げるプロセスだ。

テキサス大のグリフィン教授は、疑わしいアカウントからの仮装売買でトークン需要があるように見せかけ、価格を押し上げたと指摘している。

「まず、追加購入を通じてEOSの価格を直接操作し、トークンの市場価値を膨らませた。第2に、それはトークン価値の誤った印象を生み出し、ほかの人々にICOトークンを買いたいと思わせた」

この調査では、ICO中にEOSトークンを「リサイクル」していた21のアカウントを特定したと主張している。この取引に関係した資金は120万ETH(当時の価値で8億1500万ンドル)にのぼるという。イーサリアム(ETH)はICO中にEOSを購入するために使える唯一の仮想通貨だった。

グリフィン氏は、アカウントの所有者について特定していないが、「これらの疑わしいアカウントは、クラウドセールの終了までにEOS購入の約4分の1を占めていた」と述べている。

ブルームバーグによると、Block.oneは「Block.oneがプライマリーマーケットでトークンを購入したという証拠はない」という7月に法律事務所が作成した文書を示すことで、このグリフィン教授の指摘に答えたという。

グリフィン教授は2019年10月にステーブルコインのテザーが2017年のビットコインの強気市場に影響を与えていたという主張を行っている。当時テザーやビットフィネックスは、この主張が事実無根だと反論している