マルチアセット証券大手のイートロ(eToro)は、2020年第3四半期の仮想通貨市場レポートを発表した。仮想通貨(暗号資産)分析企業ザ・タイと共同で執筆した「仮想通貨価格を動かすものは何か(What Moves the Price of Cryptoassets)」と題したレポートでは、仮想通貨価格を上昇させる主な要因について掘り下げている。
レポートでは仮想通貨の価値に直接影響を与える15の「重要な開発指標」として、合併、資金調達、半減期、パートナーシップ、ステーキング、発表などを挙げた。そしてこれらの要素が発生してから1時間、1日、1週間後にどのようにパフォーマンスに影響するかを分析した。
発表後から上昇にかかる時間は?
イートロとザ・タイのデータによると、仮想通貨は通常、様々な種類の発表が行われた後、1週間後が最も上昇することがわかった。
時間で比較すると「1時間」が最も上昇率が低い結果となった。発表後の1時間後では平均して約0.5%上昇。情報が流通するまでに時間がかかることが理由だとしている。
「1日後」の仮想通貨の上昇率は0.8〜1.3%で、「1時間」と比べると、上昇率は高かった。
一方で、「1週間後」の仮想通貨上昇率は2〜8.2%ほどで、「1時間」、「1日」と比べると最も上昇率が高かった。
15指標の中で上昇要因が最も高いのは?
短期的には15の指標の中で合併と買収(M&A)が上昇につながる要因として最大だった。半減期や資金調達、パートナーシップ、ステーキングはM&Aに比べて1時間、1日、1週間のどれも上昇率が低い結果となった。
(出典:イートロ「重要指標の発表後の価格の変化」)
また、レポートではM&Aが90%の確率で、1週間後にプラスのリターンとなることを発見した。
「M&Aは驚くべき結果で、1週間後には90%の確率でプラスのリターンを示し、平均8.23%のリターンを示している。このような並外れたリターンは、トークン関連のM&Aニュースのほとんどが隠されていることに起因していると考えられる。さらに、トークンに関連したM&Aニュースは、エコシステムにさらなる価値を加えるために行われるのが一般的だ。」
(出典:イートロ「重要指標発表後に仮想通貨価格が急騰する確率」)
データ漏洩を防ぐことが重要
イートロが発表したレポートは個人投資家よりも、機関投資家やプロのトレーダーにとって有用だろう。
このデータは仮想通貨の価格に影響を与える基本的な要因の種類について独自の考察を提供している。また、取引所やプロジェクト、その他の関連ビジネスは、センシティブな発表や重要な展開を発表する際には、より慎重にならざるを得ないことを示している。
このレポートによると、プロジェクト関連の発表は、通常、関連する仮想通貨の価格に強い影響を与えることがわかっている。そのため、関連当事者や企業は、市場操作とならないように、関連データが漏洩しないようにすることが重要だ。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン