1月6日、シティ・インターネット・メディア・テレコミュニケーションズ・カンファレンス 2016が開催されたその期間中に、NetflixのCEO、David Wells氏によってNetflixがビットコインによる支払いを受け付ける可能性が示唆された。

Netflixは、既にインド、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポール、台湾、香港などの現地通貨での支払いを受け付けているが、これは現地の政府が国際取引をする際のクレジットカードでの受付を制限しているためだ。

 

Netflix VS 競合企業

 

Netflixがビットコインでの決済を採用すれば、世界中のユーザーにとっては朗報だろう。既にビットコインを受け付けているDish NetworkやLionsgateなどの競合企業と足並みをそろえる形になる。

2014年5月、米国内で有料テレビチャンネルを提供しているDish Networkが、ビットコインでの支払い受け入れをすると発表した。

 

「DISHは数々の賞を受賞している自社の技術で、顧客に便利な決済としての選択肢を提供しています。このような革新的なアプローチは、顧客がどう料金を支払いたいか、といったニーズにマッチしている必要があると、私達は考えています。技術を取り入れるということは、ハイテク技術を好む人たちと有意義な関係を築くということでもありますし、ビットコインでの支払いを受け入れることで、先進的な考えを持った顧客ときっと繋がることができるでしょう」と、Dishのスポークスマンは伝えている。

 

しかし実はDish NetworkはCoinbaseと提携してこのサービスを提供している―

「Coinbaseとパートナーシップを結んだことでビットコインの導入が容易になりました。私達は、ビットコインが今既に利用しているユーザー、そして未来のユーザーにハイクオリティな顧客サービスを提供し続けるための手段の一つだと考えています」

さらに彼女はこう続けている―

「顧客がDISHの個人アカウント向けのポータルサイト、mydish.comや、家庭用DVRシステムのHopperなどから直接直接支払いをすることができます。ビットコインを使って簡単に即時支払いをすることができるのです。Coinbaseと提携してはいますが、どのウォレットで決済するかはユーザーの自由です」

 

SiamoSociのCEOでBlockchainLabのメンバーでもあるDario Giudici氏は次のようにコメントしている―

「ビットコインやブロックチェーンはインターネットが誕生して以来最大の革命だと思います。仮想通貨だけでなく、そのベースとなるテクノロジーそのものもそうです。映画業界も含め、日々の生活の中においても重大なインパクトがあります。考えてもみてください、私達の日々の生活の中には、様々な取引であふれています―支払い、契約、様々です。ブロックチェーンによって各取引に署名が挿入されることで、その確実性が保証されます。そしてこれこそがビットコインやブロックチェーンが素晴らしいといえる理由なのです。例えば、海賊版映画の流出問題などを解決することが可能になります」

 

海賊版映画といえば、こういった大きな問題を報酬や賞金をかけることで食い止められないかと、開発を進めている新しいスタートアップであるCustosの例も挙げなければならないだろう。

 

映画業界におけるブロックチェーンの導入

 

知っての通り、ビットコインテクノロジーは様々な分野で利用できる可能性があり、それは映画業界も例外ではない。

例えば、Streamiumは、映像をストリーミングする人と閲覧する人を結ぶことで、Netflixに近いサービスを提供していて、ビットコインで支払いが可能な所謂ピアツーピア(P2P)の映像コンテンツのストリーミングサービスだ。

 

「Streamiumは、P2Pの技術を使うことでリアルタイムにストリーミングも決済もできてしまうという点では、Netflixとは全く別のサービスです。Netflixは現在186ヵ国でのサービスの利用が可能だと発表していますが、世界中どこにいても決済が出来るようにビットコインを受け入れるためのインフラを整備する必要があります。ビットコインでの決済はまだ、国境を越えボーダーレスに決済できるにも関わらず、大企業にはあまり決済方法として採用されていないからです。しかし、”インターネットキャッシュ”として、銀行口座やクレジットカードを持っていない人を顧客層に取り込むことができます。先進国では、地球上の大半の人々が、私達が当たり前に使えると思っているATMなどの金融ツールにアクセスすることができない、などということは誰も意識していません。実際にビットコインで決済ができるとなれば、それは明らかです。特に、Netflixのような能力のある企業にとっては。ビットコインを受け入れるには工夫が要りますし、挑戦することがたくさんあります(その一つに、アカウントの紐付けをどうするかという問題があります)しかし、全く難しくはありませんし、導入するのは高額でもありません。また、不正な取引やチャージバックの問題などはありえないので、コスト削減にさえ繋がります」と、Streamiumの共同設立者であるAlex Betalles氏は述べた。