マネックス証券を運営するマネックスグループが、仮想通貨の不正流出事件を起こしたコインチェックに対して、買収提案をしていることがわかった。買収額は数十億円規模。コインチェックの議決権の過半数を取得して子会社化、経営陣も派遣する方針という。日本経済新聞が報じた。両社は週内にも発表する予定という。

 日経によれば、マネックスとコインチェックは、主要な株主や金融庁に対して買収について説明を始めた。

 マネックスはコインチェックの買収後、創業者の和田晃一良社長と大塚雄介取締役を取締役から外す考えという。和田氏と大塚氏は株主としては残る見通し。マネックスが新たな社長や取締役を派遣して、経営のかじ取りを握る。

 マネックスは、仮想通貨取引所への参入に関心を示していた。日経は、「金融庁は監視を強めており、新規に登録すれば年単位の時間がかかる」と指摘し、コインチェック買収で「顧客基盤や既存のシステムを生かし、登録までの時間や手続きを省ける」と背景を説明している。

 マネックスは、今回の報道についてリリースを発表した。その中で「決定した事実はない」としながら、「報道された会社である仮想通貨交換業者の買収を検討しております」と買収検討の事実を認めた。

 コインチェックは、1月26日に約580億円相当のNEMが流出した。金融庁は同社に対して2度の業務改善命令を出し、強い調子で管理体制を非難し、「経営管理体制の抜本的な見直し」を求めていた

 今回の報道を受け、株式市場ではマネックス株が急伸し、ストップ高水準まで一時上昇した。