マネックスグループは29日、21018年4~9月期決算を発表した。コインチェック(Coincheck)による本格的な事業再開については、依然として金融庁の仮想通貨交換業の登録を待っている状態。マネックスの松本大CEOは記者会見で「事業が再開できれば、かなり早く黒字化すると考えている」と語り、仮想通貨事業については強気姿勢を崩していない。

コインチェックによる仮想通貨事業は足元では赤字の状況だ。今年1月からコインチェックは一部サービスを停止後、既存顧客の保有する仮想通貨の売却のみを受け付けている。7~9月期の営業収益は3億円だったが、販管費で10億円かかり、営業利益は7億円の赤字だった。

2019年3月期第二四半期のコインチェックの業績状況

早期に黒字化は可能

松本氏は、コインチェックについて「サービス再開に向け、しっかりと準備を進めてきた」とし、「高いセキュリティやしっかりとした内部管理態勢は構築しきている」と話す。本格的な事業再開については「(金融庁の)ゴーサインを待つのみ」だと話す。再開の時期については、当局による判断だとして明言は避けた。

松本氏は、コインチェックの事業が再開できれば、「再開が始まれば、かなり早く黒字化すると思っている」と自信をのぞかせる

仮想通貨市場については、ボラティリティが低下するなど昨年に比べて市場環境は大きく変化しているが、GMOコインなど競合他社が黒字を出しており、「まだまだ十分な利益を出せるビジネスだと思っている」(松本氏)という。コインチェックについては顧客基盤も厚く、「事業が再開できれば、かなり早期に黒字化可能」との見通しを示した

また仮想通貨市場については、セキュリティー・トークン・オファリング(STO)をはじめ、仮想通貨・ブロックチェーンを活用する取り組みが広範囲で行われていると指摘。「トレーディング以外の新しいビジネスも生まれており、クリプト事業の見通しは明るい」と語る。

米国子会社のトレードステーションによる仮想通貨事業についても、準備を着実に進めている状況だとしている。松本氏は「米国で仮想通貨事業のノウハウを蓄積することができれば、日本へのフィードバックも考えられる」と期待を寄せる。

将来は取引所ビジネス以外も

マネックスは同社の「グローバル・ビジョン」を1年半ぶりに更新。仮想通貨事業については、「仮想通貨交換業での確固たる地位を確立し、さらに仮想通貨交換業に限らないクリプトアセットを活用したサービスを創造し、それを世界展開」すると打ち出している。

当面は金融庁からの登録を得て、コインチェックの仮想通貨交換業に集中する考えだが、「取引所が動き出して安定すれば、エンジニアを新しいサービス開発に向けられる」と話す。