大手仮想通貨取引所や仮想通貨企業が、ペルシャ湾周辺の仮想通貨業界のオアシスに引き寄せられている。その背景には、先進的な規制環境が存在する。

バイナンスのドバイ事業を手掛けるバイナンスFZEのゼネラルマネージャーであるアレックス・チェハデ氏が、湾岸地域の先進的な規制が業界プレイヤーや新興企業にとって大きな魅力になっていると語った。

「中東で際立っているのは規制の確実性と明確さだ。ここドバイには仮想資産専門の規制機関VARAがあり、ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)には仮想資産の枠組みがあり、バーレーンの中央銀行は仮想通貨を受け入れている」

チェハデ氏は、他の管轄区域の規制当局はまだ仮想通貨の全体像を理解したり、それを学ぶ時間を取ったりしていないと考えている。もしくは、単に規制を始める「余裕」がないだけかもしれないとも指摘している。

「だからこそ、GITEXやフューチャー・ブロックチェーン・サミットといったイベントが開催されるだけでなく、ビジネス展開がしやすいということでグローバル企業がここに集まっている」と、チェハデ氏は言う。同氏は、企業が長期計画を立てるためには確実性が必要であると付け加えた。

チェハデ氏はまた、Web3企業やスタートアップが地域で事業を設立する上で、バイナンスが触媒のような役割を果たしていることも強調した。

「我々はエコシステムを実現する存在であり、世界最大のWeb3企業だ。大きさとともにネットワーク効果が見られ、大手と中小のプレーヤーが健全な環境を形成している」

チェハデ氏は、バイナンスが現在ドバイに拠点を置き、約600人を雇用しており、業界の育成に引き続き貢献すると語った。また、バイナンスFZEは1年半前からドバイで取引所として運営しており、グローバルな運営からは独立して資産を保護していると付け加えた。

ブロックチェーン分析企業チェイナリシスの研究によれば、中東・北アフリカ(MENA)地域は世界で最も成長が早い仮想通貨市場だ。2021年7月から2022年6月までの間に、地域のユーザーは仮想通貨で5660億ドルを受け取ったというデータが示されている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン