マイクロソフトは10日、仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)ブロックチェーン上で動作する分散型アイデンティティー(DID)ネットワーク「ION」をベータ版に移行した。Facebookのようなシステム提供者がユーザーのログイン情報を保有せずに、独立してユーザー自身で情報を保護し、ログインなどを可能にすることを狙う。
マイクロソフトは昨年、ビットコインのネットワーク上でIONを実行することを発表していた。
「分散型アイデンティティ財団(DIF)」と共同開発しているION(アイデンティティ・オーバーレイ・ネットワーク)は、暗号化された検証可能な識別子を作成。ビットコインのセカンドレイヤー技術であるSidetreeプロトコルをベースとしているが、仮想通貨などの価値交換とは異なり、ID自体は交換されない。そのため合意形成システムを持たず、サイドチェーンとは明確に異なるものだという。
そのため、IONは1秒間に何万回もの操作が実行できるようになる。これまでのパブリックブロックチェーンは1秒あたり数十トランザクションで、世界規模の分散型IDが要求するパフォーマンスを満たしていなかった。
具体的なユースケースとして新型コロナウイルス対策の感染追跡における個人情報保護などが挙げられている。仮想通貨メディア、コインデスクによると、今後はビットコイン開発関連企業カーサ(Casa)やビットペイ、仮想通貨取引所ジェミニなどと提携するとしている。