巨大テック企業メタ、自社の未熟なビジョンを大衆に押し付ける形でメタバースに悪名を与えた。しかし、幸いにも、オープンなオンライン仮想世界は進化し続けている。こう主張するのは、ユガラボ(Yuga Labs)のダニエル・アレグレCEOだ。

アレグレ氏は、シンガポールで開催されたToken 2049でコインテレグラフとのインタビューに答えた。同氏は、すでに他のメタバースプラットフォームが存在しているにも関わらず、メタが「これは全く新しいものだ」と言ったことで「その言葉が台無しになった」と語った。

「私がアクティビジョン・ブリザードにいたとき、私たちはワールド・オブ・ウォークラフトを持っていた。ワールド・オブ・ウォークラフトはメタバースであり、フォートナイトもメタバースだ。だからメタバースは非常にポジティブな方向に進化していると思う」

アレグレ氏は、メタのホライゾンワールドの問題点は低いユーザーベースと、「そこにいる理由がある場合」にしか役に立たない点だと指摘する。「ユーザーは中に入って、『やあ、マーク、君に会えてうれしいよ。それで、これからどうする?』という感じだ。部屋の中には大きなエコーが響いている」と彼は語った。

彼はまた、ユガラボの新しいメタバース「Otherside」が非代替性トークン(NFT)の保有者のコミュニティがデジタル空間でつながる必要性から生まれたと付け加えた。Othersideは2022年3月以降に開発が始まり、公式のローンチ日はまだ決まっていない。

「彼らが私たちに求めているのはデジタルなつながりだ」とアレグレ氏は語った。「その核心にあるのは、[Otherside]が私たちのコミュニティが1つの場所でデジタルにつながるための方法だ」。

これまでにOthersideは、一握りの早期アクセスデモと、7月のフォーカスグループによる「雰囲気チェック」を通じてのみ垣間見ることができるだけだ。アレグレ氏はユガラボが最近、「コアメンバー」を対象にOthersideの限定体験を実施したと話す。

2つの道に分岐するNFT

アレグレ氏は、NFTに対する見方でも2つの違いが現れていると語った。一方では、NFTはその芸術性の点から評価されている。もう一方で、コミュニティと知的財産権の点から評価されている。「これが進んでいく2つの道だ」と彼は意見した。

彼は、NFTプロジェクトのクリプトパンクス(CryptoPunks)とボアード・エイプ・ヨット・ クラブ(Bored Ape Yacht Club、BAYC)の間でのユースケースを比較し、所有者がそれらをどのように使用しているかを強調した。クリプトパンクスは初期のNFTコレクションで、「トップの美術館やコレクター」がオリジナルを所有する価値を認識し始めているとアレグレ氏は語った。

一方、BAYCの所有者たちはコミュニティを作り上げ、アレグレ氏によれば「エイプの所有者900人以上がエイプを基にビジネスを構築している」とのことだ。

アレグレ氏は、BAYC #9472 NFTの所有者から贈られたエイプが描かれたコーヒーパックを見せている. Source: Cointelegraph

アレグレ氏はユガラボがYouTubeと同様の立場にあり、そのユーザー生成コンテンツ(UGC)モデルにより、プラットフォーム上でビデオを共有するビジネスを構築することを可能にしたと述べた。「UGCに基づいたメディア企業やクリエイティブエージェンシー、広告が存在する。ボア―ド・エイプのコミュニティで同じことが進化し始めているのを見ている」という。

「それは、NFTとNFTの所有権をコミュニティに与えると、彼らはそれをあなたが想像できない方法で取り入れるということを示している」とアレグレ氏は語った。「オフライン空間だけでなく、オンライン空間でもだ」。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン