マーシャル諸島共和国は、DAO(自律分散型組織)を法人として正式に承認した。この動きは、集団で所有・管理するブロックチェーン・プロジェクトを世界的な舞台で正式に認知したことを示している。

DAOは、自己組織化コミュニティによって管理されるブロックチェーンベースのエンティティだ。マーシャル諸島が2021年改正非営利団体法を可決したことで、マーシャル諸島で法的承認を得られるようになった。この改正により、仮想通貨取引インフラプラットフォームのShipyard Softwareは、島国初のDAOであるAdmiralty LLCを法人化した。この法人化は、マーシャル諸島内でのDAOの登録を支援するために設立された国内組織、MIDAO Directory Services Inc.によって支援された。

現在のところ、この新しい法律により、すべてのDAOがマーシャル諸島で登録し、事業が可能だ。

マーシャル諸島共和国の元長官でMIDAOの共同設立者であるボビー・ミュラー氏は、同国は今が「ブロックチェーン革命」を「リードするユニークな瞬間」であると認識していると述べた。同氏は、DAOは「より効率的で階層性の低い」組織を作る上で重要な役割を果たすだろうと考えている。

ミュラー氏はマーシャル諸島がDAOの世界的なハブになることを目指していると話し、「登録と居住の両方だけでなく、ユースケースを開発することで大量採用を実現する」と強調した。

「その戦略は、法人設立のための最低コスト、国際的に認められた裁判所を持つ支援的な政府、そして技術の進歩を受け入れる環境を提供することだ」

マーシャル諸島は赤道付近の太平洋に位置する島国で、世界銀行によると2019年現在の人口は約59,000人。この島国は、少なくとも2018年からデジタル資産のユースケースを積極的に模索しており、政府は米ドルと並ぶ法定通貨として認められるブロックチェーンベースの仮想通貨を作るための施策を導入している。

マーシャル諸島はすでに2018年2月に「ソブリン(SOV)」と名付けられた新しい仮想通貨の創設を承認している。国際通貨基金(IMF)は、デジタルソブリン通貨が国家の財政安定を損なうという懸念から、この計画を批判している。IMFは、ビットコイン(BTC)を法定通貨として認めた最初の国となったエルサルバドルに対しても同様の批判を加えている。

しかし、マーシャル諸島の上院議員デヴィッド・ポール氏は、同国のDAO法は国家が支援する仮想通貨のような複雑さをもたらさないことを強調した。「ソブリンデジタル通貨は金融であり、マネーロンダリングの観点から多くの懸念を生む」と同氏はコインテレグラフに文書で語った。「今回の法律はDAOに法的承認を与えて規制機関や投資家、消費者にアピールするためのものであり、異なる領域だ」