ステーブルコインのDAI(ダイ)を運営するMakerDAOは、DAIの主要担保としてUSDコイン(USDC)を維持することを圧倒的多数決で決定した。GUSDやUSDP等を担保にいれ準備金を「多様化」するという代替案は20%対79%の投票で否決された

Vote totals for the proposal to normalize PSM Parameters. Source: MakerDAO official website

もちろんこのような投票が行われた背景にあるのは今月上旬におこったUSDCのドル・ペッグ脱離事件だ。USDCを発行するサークル社が準備金の一部を破綻したシリコンバレーバンクに預金していたことがUSDC売りを引き起こした。

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MakerDAOのリスク管理に責任をもつとされ約10人のメンバーで構成される「MakerDAOリスクコアユニット」は早速あらたな提案を起草。DAIの発行ルールを「正常化」する2つの選択肢を提供した。

第1の選択肢は、USDC、GUSD、およびUSDPに準備金を分散させることだった。「準備金を複数の資産により均等に分散させる」ことで、USDCのドルペッグ崩壊リスクを軽減するとした。

第2の選択肢は、USDCからDAIへのミンティング(発行)容量を現行状態の2億5000万から4億5000万に増やし、手数料を0%に引き下げることだった。この場合、DAIの発行ルールは「以前の状態により近づく」ことになり、DAIは「引き続きUSDCに対する過剰な露出を持つ」とした。

これに対し投票権をもつMakerDAOトークンMKRの保有者は第2の選択肢を圧倒的に支持。実に79.02%が第二の選択肢に投票した。

ちなみに「MakerDAOリスクコアユニット」はUSDCを担保として使用するリスクは「大幅に減少し、今後の資本不足の懸念やデペグ(ドル価格からの離脱)は予想されていない」としている。