MMO(多人数が参加できるオンライン型)のストラテジーゲームである「インフィニット・フリート(Infinite Fleet)」が仮想通貨業界の大御所からの強力なバックアップを受け、年末までにアルファ版を立ち上げる予定であることが分かった。

インフィニット・フリートは、ビットコイン関連技術を開発するブロックストリーム社の最高戦略責任者(CSO)を務めるサムソン・モウ氏が立ち上げたゲーム会社「ピクセルマティック」が手がける。宇宙ステーションやステロイド採掘、宇宙船艦隊などを用いて戦略を練るストラテジーゲームだ。

コインテレグラフジャパンに対してピクセルマティックの最高マーケティング責任者(CMO)のホープ・ファン氏は、社会活動と金融活動のデジタル化が進む中、ランク「AAA」のゲームと仮想通貨が出会うことになると意義を強調。これまでのブロックチェーンゲームの常識を変えると主張した。

仮想通貨業界の大御所が支持

インフィニット・フリートは、ビットコイン関連の「OG」たちが支持を表明。実際にビデオに登場もする。

例えば、ライトコイン創設者のチャーリー・リー氏、「仮想通貨の父」と言われるアダム・バック氏、ビットフィネックスの元最高戦略責任者(CSO)であるフィル・ポッター氏、仮想通貨トレーダーのホエール・パンダ氏やマックス・カイザー氏などが含まれている。

これまでのブロックチェーンゲームとの違い

ファン氏によると、インフィニット・フリートはイーサリアム規格の「ERC20を使ったNFTトレーディーングカードやデジタル猫」とは異なり、「ブロックチェーンソフトウェアの押し売り」や「残念なUX」なしで楽しめるマルチプレイヤー型のオンラインPCゲーム。ファン氏は、次のように解説する。

「インフィニット・フリートは、MMOゲームの典型であるスタークラフト(Starcraft)やイブオンライン(EVE Online)と同型という点でちゃんとしたゲームだ。ゲーム自体は直接的にブロックチェーンで運営されない。なぜなら、実際のゲームパフォーマンスが妥協されることになるからだ。分散型アプリ(dApp)のブロックチェーンゲーム全てが、単にオンチェーンでのカードトレードや単なるNFTトレードであるに過ぎないことから自明だろう」

ファン氏は、ブロックチェーンにとって「最も証明されて確固たる」ユースケースは「取引をする上での分散型の台帳」と指摘。「ファイルの容量や高いTPS」といった「約束」は「全て行き過ぎている」という見解を示した。

インフィニット・フリートではNFTの特性である固有なゲームアイテムの有効性を認めつつ、ゲーム自体が「楽しくて深みのあるものでないといけない」と強調した。

ゲーム通貨は仮想通貨として発行

インフィニット・フリートで使われるゲーム内通貨「INF」は、仮想通貨として発行される。ファン氏は、ブロックチェーンが使われるのはゲーム内通貨の発行という点のみだと解説した。INFは将来的には仮想通貨取引所でも取引できるようになる計画だという。

「まだスケジュールは未定だが、(取引所への上場は)ゲームがローンチされる時と同じような時期になるだろう。普通のトークンと異なり、INFは売りに出されないという点について注視してほしい。INFは、ゲーム参加への対価として稼ぐことが唯一の入手方法だ。(中略)INFはプレイヤーとプレイヤーが作る特典によって独自の市場価格を形成するだろう。INFの供給量は制限されている。ゲーム参加を通じて長期間をかけて段階的に分配されることになるだろう」

ゲームの外に資産を移すことを決める以外の場面では仮想通貨に関する知識は求めないことにするという。

セカンドライフから刺激

インフィニット・フリートのゲーム内通貨であるINFは、米リンデン・ラボ社が手がけるセカンドライフのゲーム内通貨「リンデン・ドル」から刺激を受けているという。セカンドライフは、アバターを介して仮想空間で人々が交流するサービスとして2000年代に一次ブームとなった。「リンデン・ドル」を使って、利用者が自作のアイテムや土地を売れる仕組みを構築したが、本格的な普及には至らなかった。

ファン氏は、セカンドライフは「バーチャル経済圏のサンドボックス作りでかなりの成功を収めた」と主張。セカンドライフのプレイヤーは法定通貨でリンデン・ドルの購入が可能。ゲーム内の財産の購入やゲーム内での「仕事」への報酬として機能し、逆にリンデン・ドルから法定通貨への交換も可能だ。同氏は、「結果としてゲームをやって生活するプレイヤーが多く生まれた」と高く評価した。

「実際、セカンドライフのGDPは5億ドル(約535億円)以上に上るという噂もある!このモデルは我々にとってかなり刺激となった。仮想通貨を使うことで全体のプロセスのかなりの部分で摩擦を減らして運用し、仮想通貨の普及と使用も同時に推奨できることになるだろう」

新型コロナウイルスの影響で日常生活のデジタル化が進んでいる。

ファン氏は、ゲームがデジタル版の「ギグ経済」の一部になるポテンシャルがあると期待を寄せた。

2021年には「完全版」リリース予定

ファン氏によると、2020年末までにアルファ版のリリースを計画している。完全版のリリースは「2021年のある時点」を想定している。現在、インフィニット・フリーとは、セキュリティ・トークン・オファリング(STO)を実施中。投資家とプレイヤーがゲーム関連の株式に投資して利益共有を受ける一方でインフィニット・フリートのさらなる開発費用を調達している。