ブラジルの主要サッカーチームの1つであるCRヴァスコ・ダ・ガマと、ラテンアメリカ最大の仮想通貨(暗号資産)取引所の1つであるメルカド・ビットコインは、FIFAの連帯メカニズム(連帯貢献金)の権利をトークン化する計画を発表した。

FIFAの連帯メカニズムは、FIFAの移籍規約の一部であり、クラブチームが優秀なプレイヤーを育成することを促すために設けられた仕組みだ。このメカニズムにより、優秀なプレイヤーが国際移籍するという場合、12~23歳までの間に育成したクラブが、移籍金の最大5%を請求することができる。

今回、ヴァスコ・ダ・ガマとメルカド・ビットコインは、この連帯メカニズムで受け取る連帯貢献金の権利をトークン化する。トークンの所有者は、選手を育成したクラブが受け取る貢献金の一定割合を受け取る権利がある。

メルカド・ビットコインによれば、計50万のトークンを5000万レアル(約9.3億円)で販売する計画だという。各トークンは、ヴァスコ・ダ・ガマのユースチームに所属していた12人の選手の連帯貢献金の権利の一部に対応している。その中にはフィリペ・コウチーニョやドウグラス・ルイス、アレックス・テイシェイラ・サントスといった、欧州やアジアで活躍するスター選手も含まれている。

「私たちは素晴らしい選手を育ててきた伝統あるクラブだ。多くの重要なブラジル人選手がサンジャヌアリオ(ヴァスコ・ダ・ガマのホームスタジオ)に現れた」と、ヴァスコ・ダ・ガマのアレクサンドル・カンペッロ社長は述べている。

カンペッロ氏によると、ヴァスコ・ダ・ガマは2018年以来、仮想通貨を利用した新しい収益機会を探していたという。

「このイニシアティブは、現在の経営陣によって実施されている戦略的計画の一部であり、財務、法務、そしてフットボールの各部門からの強いコミットメントと、KPMGの資金援助を受けている」

この目標を達成するため、ヴァスコ・ダ・ガマは、オルタナティブ資産のトークン化を手掛けるメルカド・ビットコインのグループ企業MBDAとも提携した。またデジタル通貨や証券規制に通じた弁護士とも今回のイニシアティブで協力してきたという。

また発表によると、このトークンが証券として分類されないことを確認するため、ブラジルの証券取引委員会とも協議を行ったという。

メルカド・ビットコインは、既に50万トークンの20%の事前購入を保証しているという。

「これは、サッカーがFIFAの連帯メカニズムに対処する方法を変えることになるトークンだ。ヴァスコはこのトークンを持つ世界で最初のクラブとなるが、ほかのクラブにもこのトークンへのアクセスを許可して欲しいと思っている」と、メルカド・ビットコインのレイナルド・ラベロCEOは述べている。

「私たちは、サッカークラブの新しい収入源を生み出している」と、ラベロ氏は述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン