写真用品や印刷ソリューションを提供する米イーストマン・コダックの株が9日、同社がコダックコインの発行と本社ニューヨーク州における仮想通貨マイニングに乗り出すという発表を受け、130%上昇した。時価総額は約325億円となっている。

 コダックコインは写真家が自身の作品の著作権を管理するためのトークンだという。また、専用のソフトがネット上で著作権が侵害された写真を探し出し、写真家が報酬を得られる仕組みをつくる。

 約130年前に創業されたコダックは1997年のピーク時には3兆円以上の時価総額を誇ったが、その後デジタル化の波に取り残され時価総額も100億円規模におちた。2012年には米破産法第11条による事業再編を申請。続く13年末にはデジタルイメージング事業を各にニューヨーク証券取引所に再上場した。2014年には旅行業界に特化したIT企業トラベルポートからCEOを迎え入れてからテコ入れが模索されていた。

 コダックのジェフ・クラークCEOによると、「(ブロックチェーンや仮想通貨は)自らの作品をうまく管理するという難しい問題に苦労してきた写真家にとっても鍵となるものだ。コダックでは常に写真を民主化し、ライセンスの仕組みがアーティストにとって公平なものになることを務めてきた。これら(ブロックチェーンや仮想通貨の)技術は写真家コミュニティにそれを実現する革新的で簡単な方法を提供する」。

 また、ビットコイン採掘事業に関しては、コダックの有する発電施設の余力電力を使用して行われる。ただし運営はコダックブランドのライセンシーによって行われる。

 経済紙ファイナンシャルタイムズは、今回のコダックの動きを「生き残りをかけた最後の必死の賭け」と評している。

 コダックコインのICOは1月31日。米で承認を受けた投資家のみ参加できるという。

 最近株式市場では仮想通貨人気に便乗する動きが多くみられている。先日にも「ロングアイランドティーカンパニー」が会社名を「ロングブロックチェーン」に変更した途端株価が5倍になった。

 今後、企業によりブロックチェーン技術の採用が真剣に検討される一方で、「にわか仮想通貨銘柄」も増えることが予想される。