KDDIとauフィナンシャルホールディングス、ウェブマネー(今年4月にauペイメントに社名変更予定)、ディーカレットの4社は18日、デジタル通貨の共同検証を実施すると発表した。今回のデジタル通貨は資金移動業に則った「プログラマブル・マネー」として、実証検証を2月28日まで行う。

ディーカレットが構築したイーサリアムブロックチェーン上のプラットフォームを活用してデジタル通貨の発行や流通、焼却を検証する。デジタル通貨を発行するのはauの子会社で資金移動業登録業社のウェブマネー社。

実証検証はKDDIの社内カフェでの決済で行う。スマートコントラクトを使うことで、前日の気温と今日の気温を比較して、違いがあれば自動で値引きするということが可能になるという。例えば前日より暑ければ冷たい飲み物が安くなるといった具合だ。

狙いはB2B

日本では金融庁がステーブルコインは仮想通貨にはならないとの方針を示しているが、法規制などが障害となり、実際のユースケースが海外に比べて進んでいない。

今回発表された「プログラマブルマネー」は、1トークンが1円と価値が固定されるなど、ステーブルコインの位置付けと似ている。しかし、資金移動業であるウェブマネー社などが発行主体となっていることやトランザクション処理が発行体の中でしかできないために転々流通ができないことが特徴で、既存の法規制上で取り組める。

白石CTOは今回のプログラマブルマネーの取り組みの背景として、現在海外ではステーブルコインの利活用が進む一方で、国内では法規制が課題となり、ユースケースが進んでいないことを課題としてあげる。まずは実例を作りたい考えだ。そのため、「既存のキャッシュレスサービスなどの一般消費者向けよりも、狙いはB2Bでの決済を想定している」と話す。

実際のユースケースについて、auフィナンシャルグループで執行役員を務める藤井達人氏は、Maas(モビリティ・アズ・ア・サービス)の企業を想定した機械間の決済にも価値が担保されているプログラマブルマネーを使うことで、異なるプラットフォーム間を結ぶことを想定する。そのほかにもブロックチェーン上のトークンとの同期決済や、デジタルアイテム、デジタル証券の決済に用いられることを想定する。

実際の実用化のスケジュールについては決まっていないが、ユースケースを見つけていきたいという。