金融庁が開催した決済高度化官民推進会議(第7回 6月24日開催)で花王とヤフー出身の委員が仮想通貨(暗号資産)について提言をしていたことが26日に公開された議事録から明らかになった。

花王コイン

花王の会計財務部門管理部長である牧野秀生氏は、仮想通貨に関して「個人的な夢」としつつも、花王コインを発行して為替損益を最低限に抑える仕組みについて語った。

「例えば、グループ内で暗号資産を持って、国内の関係会社間とか海外とか、子会社取引が多々あるのですが、そういったところで為替差益、差損が生じるということがありますので、暗号資産で、例えば、花王コインなどを作って、それで為替損益が発生しない、もしくは最低限になるというようなことができれば、我々だけではなく、いろんな会社でも、そういったことを導入したいと考えられるのではないのかなというふうに、夢のような話ですけれども、思っています」

為替差損とは、外国為替相場の変動により生じる損益のことだ。海外に工場などを持つ日本の企業は為替差損が収益に大きな影響を与えることがある。

そんな中、価値の安定したステーブルコインなど仮想通貨が為替差損の発生を抑えることに期待する声は多い。ある仮想通貨業界関係者は、リブラ協会にはトヨタやソニーなど世界中に部品の工場を持つ企業が入るメリットがあるのではないかと話している。

リブラ動向のウォッチを

ヤフーの執行役員 兼 政策企画統括本部長である中谷昇氏は、仮想通貨リブラを念頭に「健全な形で我が国における決済の高度化が進むようにするためには、1つの国に2つの制度がないようにする必要がある」提言。金融庁に対してしっかりとした監視を要請した。

「そもそもリブラが暗号資産と言えるかどうかは別として、我々の経験からしますと、海外事業者が展開するサービスに日本の法制度がうまく適応できていない場合が散見されます。他の分野においてあったように、租税が捕捉できないということが仮にあった場合について言うと、日本の既存の金融機関、あるいはフィンテック事業者は、ともに競争上劣位に置かれます。また、我が国の規制が及ばないということは、利用者保護の観点からも問題です」