数週間にわたり憶測を呼んでいたミームコイン「TRUMP」の最大保有者が判明した。トロン創設者のジャスティン・サン氏が、自身のウォレットが最上位の保有量を記録したことを認めた。
5月19日のX投稿でサン氏は、トランプ米大統領がワシントンD.C.近郊のゴルフクラブで主催するミームコイン保有者向けディナーに招待されたことを明かした。TRUMPトークンのリーダーボードで「Sun」として登録されたウォレットが、約1900万ドル相当のトークンを保有していたことも示されている。
サン氏は、5月22日の夕食会で「仮想通貨について語り、業界の未来を話し合う」と述べている。なお、リーダーボードは5月12日に確定しており、なぜこのタイミングで公表したのかは不明だ。
この動きは、すでにサン氏が大量のミームコインを購入していたとの推測を裏付けるものとなった。ディナーは上位220名のトークン保有者を対象としており、さらに上位25名にはトランプ氏による特別なレセプションとVIPツアーも予定されている。
サン氏は、トランプ氏の3人の息子が支援する仮想通貨プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」を通じて、同プロジェクトのトークン合計7500万ドル分を購入。そのうち3000万ドルは2024年の大統領選後直後に行われた投資だった。同氏はこのプロジェクトのアドバイザーも務めている。
一方でサン氏は2023年、米証券取引委員会(SEC)から、未登録証券の販売や相場操縦、違法な宣伝行為などで訴訟を起こされていた。トランプ氏が大統領に再選され、マーク・ウエダ氏がSECの委員長代行に任命された翌月、SECとサン氏は訴訟の停止を求める共同申し立てを行い、連邦裁判所により認められた。
ミームコインと政治の癒着懸念
サン氏をはじめとするトランプ関連の仮想通貨投資家の動きが、米議会に波紋を広げている。民主党議員らは、デジタル資産が政治的影響力の“購入手段”となる可能性があるとして調査を要求している。
こうした懸念は、米上院で審議されているステーブルコイン規制法案「GENIUS法」の進展にも影を落としていた。5月19日、上院は法案審議を前進させることを決定したが、その数時間後にサン氏が夕食会への出席を発表したことも、さらなる疑念を呼んでいる。
サン氏の発表を受け、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、「GENIUS法がこの種の腐敗を止めるのではなく、公認する結果になる」と厳しく批判している。
5月20日には、SECのポール・アトキンス委員長が下院監視委員会で証言。民主党のグレン・アイビー議員は、サン氏の訴訟停止やワールド・リバティ・ファイナンシャルへの投資、そしてミームコインとの関係について質問を行った。
夕食会参加者は著名投資家から匿名ユーザーまで
夕食会への参加者は、背景調査などを経て選ばれる予定とされる。5月20日時点で出席が予定されているのは、以下のような面々である:
- クロノス・リサーチCIOのヴィンセント・リウ氏
- ハイパリズム共同CEOのオ・サンロク氏
- シンセティックス創設者のケイン・ウォリック氏
- 仮想通貨ユーザーのモーテン・クリステンセン氏
- コンサルタントのヴィンセント・デリウ氏
- ワールド・リバティ・ファイナンシャルのアドバイザー「オーグル」氏(匿名)
- スタートアップ「ミームコア」代表者