ブルームバーグの報道によれば、金融大手JPモルガンは、米国の規制当局からの許可を受けるまで利用できないものの、クロスボーダー取引用に新たなブロックチェーンベースのソリューションで仮想通貨分野に参入しようとしている。
JPモルガンは、新しいデポジットトークンを運営するためのインフラの大部分を既に開発していると報じられている。このトークンはまず、支払いと決済を高速化するために企業クライアントに向けて導入される。
デポジットトークンは、預金をトークン化する形で、預金機関によってブロックチェーン上で発行される。このソリューションは、通常は非銀行の民間企業によって発行されるステーブルコインとは対照的である。
この製品は、すでに企業クライアントが金融機関を介してドルやユーロを送金することを可能にしているJPモルガンの「JPMコイン」とも異なる。新しいデポジットトークンは、他の銀行との取引を可能にし、ブロックチェーン上で異なる形態の決済、例えばトークン化された証券の取引にも適している。
ただし、新しいデポジットトークンは、取引が本人確認(KYC)および不正防止プロセスを経る点で、JPMコインと類似性を持っている。昨年、このデポジットトークンは、シンガポール金融管理局(MAS)が先導する業界横断的な協力プロジェクト「プロジェクトガーディアン」の一環として試験された。
「デポジットトークンは多くの潜在的な利点を持っているが、新しい製品が開発され利用される前に、規制当局が慎重かつ入念に考慮したいと思うのは理解できる」とJPモルガンの広報担当者はブルームバーグに対して声明で述べた。「その需要が拡大した場合、私たちのブロックチェーンインフラはデポジットトークンを比較的迅速にサポートできるだろう」とも付け加えた。報道によれば、JPモルガンは全体で毎日10兆ドルの取引を処理している。
JPモルガンは以前からデポジットトークンに関心を示していた。JPモルガンは2月に、デポジットトークンがステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)などの類似のソリューションに比べて、更に安定性と信頼性を提供する可能性があると指摘していた。
JPモルガンのデポジットトークン構想は、ブロックチェーンベースのソリューションを拡大するだけでなく、ステーブルコイン発行者に対する競争も激しくすることになるだろう。最近この競争に参加した別の大手はペイパルだ。ペイパルは8月初めに自社のステーブルコイン、ペイパルUSD(PYUSD)を導入した。米国市場での競合他社であるサークルが、そのステーブルコインUSDコイン(USDC)の導入範囲を6つの新しいブロックチェーンに拡大する。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン