国税庁は21日、ホームページ上に「仮想通貨関係FAQ」を掲載した。その中で申告に必要な所得金額などが自動で計算できる「仮想通貨の計算書」を公表し、仮想通貨関係の税申告の簡便化につなげたいとしている。

国税庁は今年4月から、金融庁や仮想通貨関連団体とともに仮想通貨取引に係る申告の環境整備に関する研究会を開催してきた。

研究会での議論を踏まえ、国内の仮想通貨交換業者側では記載内容を統一した「年間取引報告書」を投資家に交付する。各交換業者の取引報告書をもとに、国税庁の「計算書」を使えば、申告手続きが従来よりも簡単にできるとしている。

仮想通貨の税金処理手続きの方法イメージ図

国税庁:年間取引報告書を活用した仮想通貨取引に係る申告手続きの簡便化(イメージ)

ただ、この計算書では対応が難しいケースもあるようだ。

仮想通貨関連の税務サービスを手掛けるエアリアル・パートナーズが今回の国税庁の発表について解説しており、「国外の仮想通貨取引所を利用されている方やマイニング等の仮想通貨取引を行っている方、移動平均法を利用した所得の算定には現在の『計算書』では対応が難しいといった印象」だという。またこれはエアドロップのように配布されたトークンの扱いに関しても同様だろう。

また今回は仮想通貨の相続に係る手続きの簡便化も発表している。従来は相続開始時における仮想通貨の残高を証明する統一的な手続きが無かった。今後は国内の仮想通貨交換業者が相続人に「残高証明書」を発行し、それに基づき相続税の申告を行う形にするとしている。

残高証明書を用いた仮想通貨の税金の申告手続きイメージ

国税庁:残高証明書等を活用した仮想通貨残高に係る相続税申告手続の簡便化(イメージ)
 

現在の仮想通貨に関する所得に関しては原則、雑所得となり所得税の確定申告が必要となっている。詳細は国税庁のHPより確認が出来る。