経産省:ブロックチェーンの社会実装を調査、治験データや自治体の資金調達のユースケース検討

 経済産業省は23日、2017年度に行ったブロックチェーン技術の社会への実装について検討した調査報告書の概要を発表した。報告書の中では、医薬品治験データ共有でのブロックチェーン活用や自治体のトークン発行といったユースケースの検討、法制度や技術面での課題整理を行っている。

 今回の調査は「分散型システムに対応した技術・制度等に係る調査」というもので、ブロックチェーン関連企業や弁護士、学識経験者などが参加した。次の3つについて調査・検討をしている。

1.分散型システムを活用したユースケースの抽出及び評価

2.法解釈の明確化、規制緩和・制度化のあり方等の法制度面での課題調査

3.システムを構築する際に必要となる要素技術の整理

 ユースケースの評価では3つの事例を取り上げている。医療分野のユースケースでは、医薬品の治験データ管理プラットフォームを検討。ブロックチェーンによって治験データを共有し、データをステークホルダー間で記録を確認することで、改ざんに対する防止機能が働き、改ざんが技術的に防止可能となることが期待できると評価している。

 またEVのバッテリーを自動車で使用した後、回収・解体・再利用する際のブロックチェーン適用も評価した。バッテリーの残存価値のデータをブロックチェーンで共有することで、バッテリーをリサイクル際のプロセスを効率化できるとしている。

 自治体がトークン発行によって資金調達するシステムについても検証した。自治体がIoTデバイスを設置するにあたって、デバイスの所有や利用に関する権利を紐づけたトークンを発行。デバイスの利用や収集されるデータから収益を得ることができる仕組みにし、個人投資家にトークンを購入してもらう。これにより、自治体のIoTデバイス導入の初期コスト調達が容易になることが期待されると、報告書では述べている。

 それぞれのユースケースではシステム面での机上評価も実施。Hyeperledger Fabricやイーサリアムのブロックチェーンを使えば、評価項目のほとんどは実現可能としている。

 法制度面での課題調査では、ブロックチェーンを活用した電磁的記録による交付の適法性、スマートコントラクトによる契約の有効性、個人情報の取り扱いといった論点を抽出。研究の参加者からは、実証実験を通じて技術的な実現可能性を検討し、法制度の在り方を検討する必要性を指摘する意見や、スマートコントラクト等に関する運用上の指針を策定し、社会への適用を促す必要があるとの意見が出た。

 システム面では、ノード間で合意形成しながら処理するため、処理速度が低い点。鍵管理といったセキュリティ面、ブロックチェーンの保守・運用面での課題を抽出。各課題に対応する要素技術の開発状況を整理している。